Was soll der Schei〇〇 ? (26.06.2008)

2009年の9月にドイツで総選挙が行われることが決まった。今、政権にある連立与党のCDUは、次回の選挙でメルケル首相の人気にあやかって得票率40%代への復活(先回の総選挙では過去最低の35%)を期待しており、以前連立政権を組んでいたFDPの結果次第では、これまでの便宜上の結婚でしかなかったSPDとの連立政権を1日でも早く終わらしたいと考えている。「そうは問屋が卸さない。」と言いたげなSPDだが、世論調査が行われるたびに、支持率「過去最低」を更新し続け、現在は28~29%の支持率に低迷している。この支持率低下の原因となっているのが、2007年6月からSPDの党首に納まっているBeck氏の言動だ。

日本は常に周囲との調和を目指す社会だ。日本人が好む質問、「他の人はどのようにしているんでしょうか。」が示すように、日本人は自分だけ周囲から際立ってしまうのを極力避けようとする。別の見方をすれば、日本人は「他の人がしている事と同じことをすれば間違いがない。」と考える。しかし、欧州では個人のエゴが発達しているので、周囲のことなぞお構いなく、自分のやりたい事をするだけ。だから、「他の人はどのようにしているんでしょうか。」と質問する事はない。つまり日本の社会は協和を重視する農村社会で、ドイツ(欧州)の社会は個人の自由を重視する社会だ。この個人主義の社会でリーダーシップを発揮するには、相手(党員、選挙民)を説得して、これを導いて(fuehren)いく、指導者(Fuehrer)の要素が必要だ。逆に指導者の資質として歓迎されないのは、独自のアイデアがなく周囲の意見に左右されて、あるときには右に、次は左にと流される事。(こうした資質は日本では逆に「聞く耳を持っている。」として歓迎される。)

ベック氏のこれまでの行動が、まさにこのしてはいけない例の見本のようなもの。先の地方選挙では「左翼政党との共同はあり得ない!」と繰り返し明言した挙句に、左翼政党との共同を承認、これを「消極的共同であり、積極的共同ではない。」と言い訳。この変わり身の早さで地方選挙で敗北を喫すと、「もう左翼政党との共同はあり得ない。」と、元の路線に戻ってきた。(選挙で負けたから、どのみち共同は必要なくなった。)この一件で教訓を学んだと思いきや、全く何も学んでいなかったことが明になる。

今の大領領の任期が2009年9月に切れるので、それまでに大統領が任期を延長を希望するか、それともSPDが別の大統領候補を挙げて、CDUに挑戦をするか?という議題があがった。現大統領は国民に人気があるので、ベック氏は「(現大統領の)Koehler氏が職務の続行を希望するなら、これには反対しない。」と明言。ところがこの発言は、党内左派の攻撃標的になった。(SPDの内部は共産主義顔負けのカチカチの左派と、中道の右派に別れている。)Koehler氏は元々、CDUの大統領候補。SPDは別の候補を立てたが、選挙で負けた経緯があり、左派にしてみれば、このCDUの大統領にさらに4年もドイツの最高職に就かれるのは我慢ならない。そこで独自の候補を立てるべく画策。左派は党内ナンバー3で、SPD党首代理の地位にあるNahles女史にこの話を持っていくと、直ちに賛同を受ける。そして定例党会議が開けれた際に、左派は声を揃えて独自の候補、それもよりによって先回候補に上げて選挙で負けたSchwan女史を挙げることを要求。この左派の画策を聞かされた党議員長のStruck氏は、"Was soll der Scheiss?"(なんのつもりだ!/少し上品に解釈)と、大いに怒った。

しかし、先の地方選挙の敗北&世論調査の低迷で党首の地位が危ないと感じたベック氏は、この左派に同調、「SPDは独自の大統領候補を挙げることにした。」と記者会見で発言。わずか数週間前には全く別の発言をしていただけに、今回の氏の決定(発言)は、彼のリーダーシップを国民に売り込むのみは役に立たなかった。又、Schwan女史が大統領選出馬への記者会見で、「(大統領になる為には)左翼(共産主義)政党だろうが右翼(ナチス)政党の票だろうが、歓迎する。」と、正直に明言してしまったものだから、「ベック氏は左翼政党とは共同しないと言ったばかりなのに、またもやこれを翻すばかりではなく、ナチスとの共同も承認した。」と報道され、SPDの支持率はこれまでの最低記録を再度更新、氏の地位はさらに危うくなった。 

本来は、この先の展開をここで紹介する予定だったのですが、例によって前置きが長くなったので、ここで一旦終了します。続編は来週、紹介します。


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先の大統領選での敗北の復讐に燃えるSchwan女史。


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元国防大臣struck氏。趣きのある発言で有名。
Hessen州知事Koch氏との争いで、"Der kann mich mal!"の台詞で国民の賛同を受けた。

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額の傷跡がトレードマークのNahles女史。近くでみるとかなりの迫力。ベック氏が抵抗できないのも理解できる?


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