die Rache ist suess.(復讐の味は甘く。) (27.10.2008)

金融危機で経営難に陥った銀行を救う銀行救済案が国会で承認されたが、、不評だ。Deutsche Bankの頭取、Ackermann氏は、「国から資金援助を請うなど愚の骨頂。」とコメント、暗にこの救済案のボイコットを示唆した。すると残業+早朝出勤をしてこの救済案を成立させた政治家から厳しい非難を受けた。しかし、氏の言う事にも一理ある。この救済案を申請した銀行は、株主へ配当金を出すことを禁じられれる。しかし、配当金の出ない株、特に銀行株など、この危機の真っ最中、誰も欲しくない。つまり救済案を申請すると、その銀行株は価値を無くし、これが原因で破綻しかねない。実際、アカーマン氏のコメント後、Deutsche Bankの株価は上昇した。逆に、「救済案を申請するかどうか、協議中。」とコメントを出したCommerzbankの株価は大きく下落した。これを見た他の銀行は、怖くて救済案を申請きないでいる。これでは救済案の意味がない。救済案なら、米国にならってすべての銀行に財政援助を押しつける形の方がよかった。今後、金融危機の発展次第では、この救済案(制裁案という名前の方が適している。)の、改正が必要になるかもしれない。

さて、最初にこの救済案を申請した(公の銀行なので株式も配当金も無い)バイエルン州の州立銀行(以後、LBと略。)だが、資金援助申請額は巨額の64億万ユーロに(今の時点で)上っている。予想もしていなかった巨額の損失が明らかになると、その犯人探しが始まった。その陣頭指揮を執ったのが、バイエルン州で政権を握っているCSUの次期党首に指名されているSeehofer氏だ。そして氏が今回のバイエルンLB破綻の下手人として槍玉に挙げたのが、(まだ)党首&バイエルン州の財務大臣のHuber氏だ。ご存知の通り、氏は党首選出の際、陰謀を巡らしてSeehofer氏を失墜させた張本人である。策略を巡らしてCSUの党首に就任したフーバー氏だが、先の州選挙で大敗を喫し、党首の座を明け渡す羽目になったのはここで紹介した通り。そして次期党首に指名されたのが、よりによってゼーホーファー氏であった。氏にしてみれば、バイエルンLBの破綻を見て「復讐の時ぞ来る!」と思ったに違いない。州の銀行であるLBの業務責任は、州の財務大臣にある。つまりバイエルンLB破綻の責任はフーバー氏にある。ここでゼーホーファー氏は、よくあるように水面下で辞職を要求しないで、マスコミ(テレビ)の前で、フーバー氏に責任を取って辞職するように要求した。

die Rache ist suess.と言うが、ゼーホーファー氏は復讐の甘い味を思う存分堪能したに違いない。連立与党を組むFDPが連立政権の条件としてフーバー氏の首を要求するに至り、氏の命運は尽きた。公に侮辱を受けた氏は、あきらかに落胆した表情で財務大臣辞任を発表する。この前までは、党首兼財務大臣という要職についていたのに、いまや一介の党員にすぎないのである。氏は記者から心境を聞かれた際、「(困ったときに)頼りになるのは、家族と(本当の)友人だけ。」とぼっつりと正直な感想を漏らしていたのが印象的だった。哀れ。逆に今や飛ぶ鳥を追い落とす勢いゼーホーファー氏だが、10月25日に開かれた臨時党大会では(賢い事に)前任者の失敗を非難するという間違いを犯さないで、党の結束を呼びかけた。その結果、氏は90%を超える党員の賛成票を得て、新党首に選出された。(27日には、州知事に選出された。)

(政治家の)人生や塞翁が馬。全く先が予見できない。もしゼーホーファー氏がシュトイバー氏の失墜後、党首(兼財務大臣)に就任していれば、今、しょげているのはゼーホーファーr氏で、勝鬨を上げているのはフーバー氏であったろう。ところが、運のいい(悪い)事に党首選出戦に負けた為に、バイエルン州のLBの破綻の責任を回避することができ、汚れの無い真っ白なベストを着て党首の座に就くことができた。このように強運に恵まれた政治家は、Merkel首相のように、出世の階段を上る傾向がある。果たしてゼーホーファー氏が、どこまで出世することができるか、まずは次回の州選挙でCDUが伝統の過半数票を獲得できるかどうかにかかっているだろう。
 
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自身の州知事信任投票の様子を見守るSeehofer氏。



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