Die Fantastischen Vier (06.11.2008)

ここで何度か取り上げたヘッセン州の政権争いが新たな頂点(破局)を迎えたので、他の事件を差し置いてますはこれから、紹介してみたい。

まずは、Hessen州(フランクフルト空港など、産業基盤のある州。)の政情に詳しくない方の為に過去のおさらいをすると、今年の初めに行われた州選挙で、与党CDUは州知事Koch氏の失言が功を奏して敗北を喫した。しかし野党のSPDもほぼ同じ程度の得票率しか得られなかった(それでも大躍進)ので、どの党が政権を担当するにしても、他の政党と連立政権を組む必要性が生じた。試行錯誤の結果、どの政党も州議会で過半数を獲得することができないので、ドイツの法律によってコッホ氏が(どこかの党が過半数を得るまでの)州知事として引き続き君臨することになった。これに我慢できないのがSPDのYpsilanti女史だ。(何があったのか知る由もないが)女史の、コッホ氏に対する敵愾心は尋常ではなく(あるいは権力欲か)、自身が州知事に就けるなら悪魔との契約も辞さない意気込みだった。そこで女史は(当時まだ)党首Beck氏の了解を取り付けると、選挙前の公約を破って悪魔(左翼政党)との共同戦線を張ろうとした。ところが、これは党内のMetzger女史の反抗に遭い、政権を奪取する夢はあっけなく弾けた。しかし、この悪魔(左翼政党)との契約のツケを払わされたのはよりによって党首のBeck氏だった。

この冒険によって党首の首がかかったにもかかわらず、Ypsilanti女史は一向に諦めるそぶりを見せず、まるで大阪 冬の陣、夏の陣のように、まずは外堀を埋めにかかった。手始めに悪魔と再度契約を結ぶと、緑の党と連立政権協定を結ぶ。早速、緑の党は臨時党大会を開いて、SPDとの連立政権協定を賛成多数で可決した。同時にSPD(Ypsilanti女史)も臨時党大会を開き、緑の党との立政権協定を賛成票多数で可決した。外堀を埋めると、あとは11月4日の州議会で、Ypsilanti女史の州知事就任の選挙(投票)を行うのみとなり、女史の州知事就任を阻むものはないように思われた。もっともSPD、緑の党、左翼政党のすべての議員がYpsilanti女史に投票した場合でも、得票数はかろうじて1表差で過半数になるというきわどいものだった。

ドイツの政情に通じている読者なら、2005年にSchleswig-Holstein州で同様の状況で州知事就任投票に(3度も)臨み、身内の裏切りで州知事につけなかったSimonis女史の惨状をご存知の事だろう。Ypsilanti女史もこの件を忘れておらず、党内で投票の予行演習を何度も行うなど、なかなか入念な準備をしていた。そして問題の11月3日。投票24時間前になって、SPDの議員4名が記者会見を開き「公約を破って左翼政権と共同戦線を組むということは良心が許さない。Ypsilanti女史には投票しない。」と、声明を出してしまう。これを聞いた(新しい)党首のMuentefering氏は、「当惑すると共に大きな怒りを感じる。」と正直にコメント、又、「選挙の24時間前になって急に良心の存在を認識するのは理解しがたい。」と、この4人の反乱者への訓戒も付け加えた。又、経験豊かな政治家らしく「守れない公約は最初からするものではない。」と、この一件から教訓を垂れていた。

肝心のYpsilanti女史だが、予告された記者会見の時間を後送りにしてなかなか顔を見せなかったが、「いつまでも逃げ切るものではない。」と判断したようで記者会見に臨んだ。その表情は、唇をきつく閉じており、できるだけ感情をださないように努力している様子がよく見て取れた。「今まで異議を唱える機会は幾らでもあったのに、投票前になってこの豹変振りはありえない。」と発言する女史の言葉は怒りで震えており、心中を何よりも物語っていた。

これにより一番得をしたのは(der lachende Dritte)は言うまでもなくコッホ氏だ。これでしばらくはこのまま州知事の地位に留まることができる。又、どの政党も、過半数を獲得することができないことが明確になったので、Hessen州では新たに選挙になるだろうが、今回のSPDの醜態でCDUの投票が伸び政権を維持できる可能性が高い。又、SPDは二度までも政権奪取に失敗したYpsilanti女史を州知事候補にする事は避けるだろうから、女史の政治生命はこれで尽きた。これも悪魔と契約する者の宿命だろう。

ところで今回の一件で一番大笑いをしている人は誰だろう?そう、右に写真入で紹介しているClement氏である。氏は(SPD党員なのに)Ypsilanti女史に投票しないように呼びかけ、あやうく党から除籍処分になる所だった。幸い、忠実な友人の忠告に従って「ごめなさい。」をしたので、党員除籍処分をまぬかれたばかりだった。しかし、今回の喜劇でClement氏の意見、「経済状況を無視して、イデオロギー上の政治を行おうとする政治家を選ぶべきでない。」が、必ずしも間違いでない事が証明された。氏は今回のSPDの破局について記者からコメントを求められると、「それだから、言わんこっちゃ無い。」と(氏を非難した)党本部を非難していた。


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裏切った人。


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裏切られた人。


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得をした人。


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笑う人。
        

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