ドイツの景気てこ入れ政策。 (07.12.2008)

12月5日、120億ユーロの景気対策が国会を通過、正式な導入が決まった。その内容はすでにここでも紹介した通り、新車を買うと自動車税が節約できたり、アパートのリノベーションを行うと、その費用が年末調整で落とすことができたりと、あまり意味(効果)のない対策で一杯だ。さらにはこの危機の前に決定されていた失業保険の掛け金の減額までも「景気対策」の一環としてカウントされており政府はこの対策に「箔をつける」のに懸命だ。あまりにみすぼらしい内容の為、これを景気対策と呼ぶ事すらはばかれるが、日本のメデイアでは「ドイツ政府は500億ユーロの大規模経済対策を承認。」と一斉に報道した。日本でドイツに関して何か報道されると、いつも決まってこんな按配だ。ちあみに今回は(日本の)ロイターが間違ってこのニュースを報道したのが、どうも原因になっているようだ。その後、あちこちの機関、新聞は自分で調査しないでこの記事を鵜呑みにして、恥の上塗りをした。今の時代、ドイツ語を理解できる人間くらい幾らでもいるだろうに、新聞に載せる前にニュースの信憑性をチェックすることさえしていない。そこで今回は、日本のメデイアで報道された「大規模な経済対策」について紹介してみよう。

まず2009~2010年の景気対策として、冒頭で述べた対策を実施するが、この規模は500億ユーロではなく120億ユーロ、日本の報道の1/4にも満たない規模である。これに加え2012年(!!)までに、景気対策を追加する予定(予定だけ。まだ国会を通す必要ある。)で、必要とあれば合計230億ユーロの資金を投入するというものだ。これにより政府は500億ユーロの投資がドイツ国内で行われると期待している。言うまでもなく、120億ユーロと230億ユーロを合計すると、500億ユーロではなく、350億ユーロである。「500億ユーロ規模の経済対策」という見出しは、その数字から間違っている。しかし、このドイツ政府の景気対策をドイツ語から日本語に直す段階で、「ドイツ政府は500億ユーロ規模の景気対策を国会で承認!」とやってしまったようだ。まあ、景気が悪い時期だけに、「ドイツ政府、120億ユーロの景気対策を決定!」と書くよりは、「ドイツ政府、500億ユーロの景気対策を決定!」と書けば、見栄えだけでも景気がよさそうなので、ついつられてしまったのかもしれない。それとも「昔のよしみ」か。いずれにしても、日本のメデイアで報道、紹介されるドイツのニュースは誤報ばかりなので、信用しないほうがいい。

もうひとつ日本のメデイアが当てにならない例を挙げてみよう。某新聞によると、ドイツ政府は「消費(商品)券」の配給を検討しているそうだ。実は、この話は大蔵省の役人が「景気のてこ入れに、消費券のようなものを提供するなどして、国内経済の活性化を図る必要があるかもしれない。」と私的な意見を述べただけの事。ドイツ政府はこの案の検討などはしていない。大体、大蔵大臣が「馬鹿馬鹿しい。」と即座に否定しているのに、「ドイツ政府が、消費券の配当を検討中。」という報道はないだろう。。

しかし、ドイツに住んでいる者としては、必ずしもこの事態を笑っていられない。何処かの工場が閉鎖されて、派遣社員はすべて解雇、契約社員は負って沙汰あるまで自宅待機というニュースがほぼ毎日聞かれるので、他に選択肢がないから、今の政府に、景気対策を期待する淡い希望が捨てきれない。ところがその淡い期待は、あっけなく裏切られた。週末の党大会でメルケル首相は、自己の景気対策を擁護、「印刷機やコーヒーフィルター同様に、このドイツの経済政策をドイツの輸出の目玉商品にしよう。」と、演説を行い、経済専門家は悲しく頭を振るばかりった。

これで終わっては、景気が悪いときに、滅入る話で終わってしまうので、ほがらなか話題も紹介しておこう。景気が悪いと(お金持ちでない限り)お金を節約したくなるのは、人間の常。しかし、贅沢も諦めたくないドイツ人がメルセデス(Eクラス)を買った。ガソリン代を節約するために、燃費のいいデイーゼル車にしたのだが、どんなにゆっくり走っても、メルセデスのパンフレットに書かれているよりも、15%以上も燃料を消費してしまう。日本なら「そんなの当たり前じゃん。」と逆に笑われてしまうかもしれないが、ドイツでは冗談は済まない。このメルセデスの所有者はメルセデスを詐欺容疑で裁判所に訴えて、なんと勝ってしまった。この結果、メルセデスは裁判費用を全額負担(ドイツでは裁判に負けた方が、裁判費用と先方の弁護士費用も負担する。)を命じられ、車の購入額の一部、2500ユーロを所有者に払い戻し、さらに車が「余計に」消費する燃料の負担をすることになった。流石、ドイツ。是非、日本でも同様に消費者の権利を戦って勝ち取ってもらいたい。


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ドイツの誇る発明品。

 
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