秋までの辛抱? (31.07.2009)

夏休みシーズン到来。政治家も休暇に入ったので、「ここで紹介するネタも、なくなるなあ。」と心配していたら、次から次へと事件が相次ぎました。とても全部紹介できないので、おいしい部分だけ、厳選して紹介する事にします。

その先陣を切るのは、ドイツの厚生大臣(写真右)だ。大臣はドイツ人の大好きな休暇先、スペイン(のアリカンテ)で休暇を過ごしていたが、幾つか公用の仕事が入っていた。というのも、スペインで休暇を過ごして、すっかりこの国が気にってしまい、ドイツからこの国に移住するドイツ人が多いのだが、言葉もできないで事業に成功する筈もなく、あるいはここで詐欺に遭って、無一文になるドイツ人が後を断たない。そのドイツ人が現地で病気になると、誰が治療費を払うのか?日本なら事業自得で終わってしまう問題だが、ドイツではそう簡単にはいいかない。そこで大臣が、現地の状況を視察をすることになっていた。

そこまではいいのだが、このわずか数時間の「公務」に、大臣専用の「特別使用」のメルセデスをドイツから運転手に命令して、休暇先まで持ってこさせた(往復5000km)。このような政治家の金の無駄使いは日常茶飯事なので、通常は大きな問題にならないのだが、この車がスペインで盗難に合うと、大きな問題になった。この車は特別仕様のため、新たに調達するのは10万ユーロ(法貨で1400万円)程かかるが、盗難保険に入っていなかったので、納税者がこの大臣のヘマの「尻拭い」をする羽目になる。にもかかわず、車を盗まれた大臣が、「夏休みでニュースがないから、こんなつまらないことが注目される。」と全く、責任感を見せなかったので、国民の反感を買った。大体、数時間の公務なら現地でドイツ領時館の車を借りるか、車が盗まれてからレンタカーで公務に向かったように、最初から現地でレンタカーを借りれば費用はたったの500ユーロで済んだ。しかしレンタカーでは「箔」がつかない。この為に、わざわざドイツから車を持ってこさせた。これを絶好の商売のチャンスと見たレンタカー会社が、大臣が事情を釈明している写真を宣伝に使用、「盗難保険たったの29ユーロ。アリカンテへの出張はSixtのレンタカーで!」とやってので、少し溜飲がおさまった。*

折角なので、この機会に他の大臣にも登場してもらおう。例えば環境大臣のGabriel氏。「グリーンな政治家」の印象作りの為に、公務で電車を利用した。ところが、到着先の駅から訪問先に向かうのに車が要るので、電車と平行してリムジン車を空で走らせた。そのお陰で、大臣が駅に着くと、大臣専用のリムジン車が待機していたが、呆れて言葉も出てこない。さらにこの大臣は、以前、ドイツ人のメッカ、Mallorca島で休暇を過ごしていたが、「公務」でベルリンに帰る際、ドイツ空軍の飛行機を呼び寄せて、「貸し切り」で帰国した。その費用は燃料費だけで5万ユーロ。又、文部大臣のSchavan女史も、次のアポイント(ただのインタビュー)に向かう際、ドイツ空軍のヘリを使用して税金を2万6千ユーロも無駄使いした。似たような例は数が多く、ここですべて挙げる事はできないが、これが政治家の「通常」と考えるべきだろう。

別のテーマ。先月、イタリアのトスカナで電車が脱線して積荷の液化ガスが大爆発、合計22人の死者を出した事件をまだ覚えておられるだろうか。その後の調査で、電車脱線の理由は、電車の車軸が走行中に折れた為、車両が相次いで脱線、大爆発を招いたことが明らかになった。「電車(車軸)の欠陥?」と言えば、ここでも取り上げた通り、時速300km/hで走行後、ケルン駅の手間で車軸が折れ、電車が脱線した事故が思い浮かぶ。「ひょっとして関係が?」と思っていたら、案の定、この電車(車軸)はドイツ製で、ちょうどドイツで総点検を終えて、再び業務に使用されていた事が判明した。すでにドイツで問題になって交換が始まっている車軸を何故、交換、あるいはせめて入念にチェックしなかったのか、作業員(ドイツ企業)の信用性が問われるが、それでいてなんとなく、「ドイツ(人)らしい。」と思ってしまう。

この事故とほぼ同じ時期、ベルリン市内を走る路面電車の車軸が折れた。これを調査した交通局は、ドイツ鉄道が整備を節約して、車輪の点検及び取替え時期を過ぎても、そのまま文字通り「壊れるまで」使用していた事が原因と結論を出した。交通局からお叱りを受けたドイツ鉄道が急遽、全車両の車輪及び車軸の点検、取替えを決定したから、ベルリンの住人にはとんでもない「天からの恵み」となった。路面電車の3線、S9, S45それにS85は、完全欠行となり、まだ運行している電車は東京並みの大混雑。おまけに経費削減のために、電車の整備所を封鎖したばかりなので、唯一の整備所ですべての電車の車軸を取り替えることになり、これは夏の終わりまで続くというていたらく。折り良く8月にはベルリンの世界陸上が実施される予定で、世界からやってくる観戦者は、ドイツの首都では、期間中、電車が欠行しているという珍事態を観戦(体験)する事になる。こうして赤っ恥をかくことになったベルリンの市長は怒りがおさまらず、「ドイツ鉄道は、世界陸上の開催期間中、電車網がちゃんと作動することを約束したじゃないか!」と叫んでいたが、後悔先に立たず。なんとなく、今のドイツ(人)を象徴する出来事であった。

ドイツ鉄道の名物といえば、遅延。過半数を超える遠距離及び中距離路線は遅延しているので、乗り換えのある接続はできるだけ避けるべき。もっとも最初の電車がやって来ない場合もあるので、そのケースでは愚痴る以外何もできないが、電車が遅れた場合、せめてお金が戻ってくるようになりました(予定より早めに7月29日発効)。1時間の遅延でチケット代金の25%、2時間を越えると50%の代金の返却請求が可能です。残念ながら、まだ「電車が遅れたからタクシーを。」というわけにはいきません。(終電が欠航した場合は可。)又、チケット代金が16ユーロを超える場合に限って返金請求が可能になったので、いつも遅れる通勤電車や、遠距離でも59分の遅延では返金の請求権利がないなど、まだ不満な点は多いですが、それでもこれまでの状況に比べれば、「改善」と言えます。そんな訳なので、ドイツを移動中に電車が遅れたら、ドイツ鉄道のService Pointで係員にチケットを見せて、返金要求に必要な書類を請求しょう。詳細はこちらをご覧ください。

* この公用車スキャンダルは9月の総選挙を前に、厚生大臣の所属するSPDの支持率を下げる結果となった。快適なリードを保ってすでに勝利の香りを満喫しているメルケル首相は、この公用車の一件について聞かれた際、「(大臣として)公用車を使えるのも、秋までだからね。」と、すでに選挙に勝った気分でコメントした。


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レンタカー会社の宣伝。


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電車が脱線、爆発した事故現場。
 


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