ヒトラー暗殺事件 (04.07.2008)

7月5日にベルリンにてマダム・タッソー蝋人形館がオープンする。他の国にある蝋人形館と違い、ドイツの蝋人形館では「ドイツらしさ」を出す展示品内容になってる。例えば、ドイツの有名なサッカー選手だとか、ドイツの首相など。しかしなんと言っても海外でダントツで有名な「ドイツ人」と言えば、未だにあのオーストリア人である。この為、展示をする側としてはどうしてもこの有名人を展示作品に加えたい。しかし、ユダヤ人団体からの反対は言うに及ばず、ドイツ人にしてみれば、またしてもこのオーストリア人がドイツ首都ベルリンに「帰還」するのは許しがたく、猛反対があった。そこで展示側も妥協。この有名人がフランスの停戦申し入れのニュースを聞いて、膝を叩いて喜んでいる像ではなく、ベルリンの地下壕で絶望して自殺を遂げる前の像を展示することとなった。

蝋人形館では写真を撮る事も、人形に触ることもできるが、この有名人の部屋だけは上述の理由で写真厳禁。知らないで写真を撮ってしまうと、係員のおじさんに叱られてしまうので、注意しよう。そうそう、蝋人形館の余興として、蝋人形にまじって俳優も立っているそうだ。人形だと思って近くに行くと、いきなり人形が動き出すので、これも楽しみのひとつだ。

そして開館日の今日、二人目の訪問者が蝋人形館に入場すると、係員の制止を押し切って、ヒトラーの地下壕に突進、ヒトラーの頭をもぎ取るという事件が起きてしまった。テレビ、ラジオでは「ヒトラー暗殺される。」という見出しでその日のトップニュースに昇進した。ラジオの司会者は"Diesmal hat es geklappt!"(今度はうまく行った!)と冗談まぎれにコメントしていた。(64年前、1944年のヒトラー暗殺は失敗に終わった。)

この一件からわかるように、第三帝国の悪行はドイツ人の心理を未だに抑圧しており、ドイツ人の多くはこのテーマを持ち出すとヒステリーになるので、このテーマはドイツ滞在中は触らない方がいい。それはそうと、今回暗殺を実行したのは失業中の元警察官で、博物館から目玉の飛び出るような損害賠償請求を受けた。裁判所にてこの損害賠償の支払いを命じられた暗殺者は、「あなにとってこの暗殺はそれでも意味がありましたか。」と聞かれて、「そんな大金をどうやって払ったらいいのかわからない。」とかなり失望していた。

余談。しばらく前になるが、タイのバンコクでも蝋人形館がオープンした。その目出しは、ヒトラーの等身大の蝋人形。死後70年近く経っているのに、この人物の人気度は海外でますます増しているようだ。何も知らない蝋人形館の経営者はこの「見出し」を巨大な垂れ幕に印刷、他の蝋人形の写真と一緒に蝋人形館のオープンを宣伝した。言うまでもなくイスラエル大使館から正式にタイ政府に対して抗議があたった。外国におけるタイの評判を気にしているタイ政府は、この蝋人形館の経営者に改善を申し入れた。その結果、ヒトラーが立っていた場所に白い「覆い」をかぶせることで、対処した。このおかしな白いカバーを不審に思った日本人の友人が、「何故、ヒトラーの像がそんなにタブーなの?」と聞いてきた。タイ同様に、日本でもこの辺の微妙な感覚が欠けているようだ。


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暗殺に遭ったヒトラー像

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オンラインで買うとチケットは16,50EUR。ちょっと高いが、ベルリン(ドイツ)の記念にどうぞ。


 
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