3度目の補正予算 (16.10.2004)

EU加盟国は国会予算に占めるの借金率を3%以内に留めるという厳しい規定がある。この規定を採択した背景には、借金の限度を決めておかないと、ギリシャ、ポルトガルなどの経済的に弱い国が借金に頼った予算を立て、EUR紙幣を好き勝手に印刷、これに伴うEURの価値の下落を未然に防ぐというフランス、ドイツの目論見があった。もっともドイツはもっと厳しい借金の割合2%を適当を考えたが、ゆるやかなフランスは4%を適当と考えたので、真ん中の3%で妥協した経緯がある。ところが実際にEUR通貨が導入されると、経済大国であったはずのドイツとフランスがこの3%枠を守れない為、EU議会から罰金を要求される結果となった。

そこでドイツ政府は(かっての)経済大国の面子を保つべく、2005年の国家予算案では、かろうじてこの3%の枠内に収まる予算案を国会に提出した。これを見ると、できる限り支出を抑える一方で(またしても)増税を計画している。今回、政府にとって資金源として増税の筆頭に上げられたのは、タバコとガソリン。これによりタバコは将来、1箱5EUR(現在3,80EUR)もする事になり、ガソリンにいたっては、デイ-ゼルが1リットル1EUR10セント、ハイオクで1EUR30セントを超える事になった。この政府の涙ぐましい努力も、景気がいい時ならうまくいったかもしれないが、政府の目論見は見事に外れた。
 
まず、タバコの消費が7%も減少した。しかし、これは急に喫煙者が禁煙者になったわけではない。チェコ、ポーランドなどの国外で、あるいはインターネットで海外の安いタバコを購入して、ドイツに密入国する人が激増しただけの事だ。ついでガソリンの消費が大幅に減退。これは何もドイツ人が自家用車の利用をやめて、バスで通勤するようになったわけではない。隣国まで陸続きのドイツでは、国境沿いに住む住人が、フランス、ベルギー、ルクセンブルク、ポーランドまでガソリン観光客となって隣国までガソリンとついでにタバコまで買いに出かけるようになっただけの事。さらには、運送会社はドイツ国内ではなく、外国でトラックのタンクを満タンにするように指示。お陰でドイツ国内の国境沿いにあるガソリンスタンドは軒並み潰れた。結果として、政府の政策の為に返って失業者が増え、失業保険の支払いで国の出費は増え、税収入は減って、今回の3度目の補正予算にいたった経歴がある。
ついでながら、この3度目の補正予算で、2005年に3%の枠内に借金を収める事も事実上不可能となった。すると同じように3%の借金枠を守れないフランスとドイツ政府は急に「両国に共通する利害の一致。」を見出す事になり、自分達で考え出して制定した3%枠の撤廃をEU議会に提出しようと画策した。ところが野党の猛烈な反発を買って、政府はやむなくこの案を放棄した。
 
編集後記
6年後にはここで危惧していた通りギリシャ、ポルトガルなどの国が発信源となりユーロ危機がやってきた。ドイツ政府はこの危機に鑑みて、ユーロ加盟国の借金率を現行の3%から2%に下げることまで考察しているから、当時と比較すると180度方向転換である。


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ドイツ国境を過ぎると、見渡す限りガソリンスタンドが林立

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24時間、ノンストップで訪れるガソリン観光客



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