Schwarzgeld(賄賂) (13.12.2006)

ここ数日にわたってドイツのテレビ、ラジオで四六時中報道され、新聞のトップを飾っているのが、ドイツを代表する大企業Siemensの汚職事件だ。(汚職疑惑ではなく、すでに立派な汚職事件。)世界で活躍するジーメンスが、世界中で公開入札が行われると契約を日本企業の鼻先からまんまとかさらって行く様子を、ドイツ経済2「頑張れ日本!」の所でも述べておいたが、今回の事件でジーメンスの「裏技」を垣間見ることができた。

公開入札と言えば、まるで公正に入札が行われるような響きがあるが、これはとんでもない勘違い。公開入札が告示されると、その国に駐在している企業(日本の場合は、商社)の駐在員が日ごろからお金を握らせている役人を通して、入札の額面、誰にどれだけ賄賂を贈るべきか、などの情報を仕入れる。当然、他の企業(商社)も似たような方法で賄賂を贈ってくるから、最終的には賄賂合戦になる。本国の本社から賄賂に必要なお金を銀行送金をしてもらうと、証拠が残り、税務署が調査を開始するとすぐにばれてしまうので、賄賂合戦で物を言うのは現地に蓄えてある現金である。この現金の調達がジーメンスはうまかった。

例えば、ハンガリーにトンネル会社を設立する。社長(代表)は、道端で寝転んでいる浮浪者。飯を食わせて、現金を握らせて、書類にサインさせるわけだ。その後、会社名義で銀行口座を開設。ドイツ本社から、この口座に新会社の創立諸費用として送金。社長(浮浪者)が、銀行に出向いて、お金を現金で引き下ろして、その隣で監視しているジーメンスの社員に渡す。その後、この現金は車のトランクに満載されて、スイスやリヒテンシュタインに運ばれ、ジーメンスのSchwarzgeld、「収賄口座」が完成する。この口座を通して、ジーメンスは世界中で行われる公開入札を資金援助していたのである。

このジーメンスの「無尽蔵の資金源」は、スイスのBozen市での公開入札の際、ジーメンスがいつものように役人に賄賂を贈ったのがばれて、社内捜索を受ける事になったのがきっかけで、その全貌が明かされる事になった。その捜査の過程で過去5年間に行ってきた収賄の事実が明るみに出てしまった。(ドイツでは5年経つと時効なので、過去5年間。なにも6年前は賄賂を払っていなかったわけではない。)このジーメンスのSchwarzgeldの準備高は当初、6百万ユーロ(9億円)と予想されていたが、検察の調査が進むに連れて次々に新しい口座が発見され、最終的には4億ユーロ(なんと600億円!!)程度になりそうだ。これでは日本企業が公開入札で一向にジーメンスに勝てないのも無理はない。
 
編集後記
結局、この賄賂がきっかけになり社長は言うに及ばず、取締役会長まで、その職務から「辞任」する事になった。解任にならなかったのは、社長が賄賂を指示した、あるいは賄賂が支払われた事を知っていた事実を証明する証拠がなかった為。日本のオリンパスのように取締役役員の多にとって、この収賄は会社の中では公然の秘密であったようだ。ジーメンスはこの事件を究明する為、外部の人間を社長に就任させて、容赦なく責任問題を追及した。結果、取締役人の多くは罰金をジーメンスに払うことにより、ジーメンスから警察への告発を取り下げてもらい、刑事責任を逃れることになった。


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今年2度目の社内捜査を受けるSiemens


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