世界に冠たるドイツ (13.05.2007)

ドイツ人は"made in Germany"という言葉を誇りにしている。だからドイツ人が「これはmade in Germanyだ。」というと、その言葉は「これは世界で一番優れた製品だ。」という意味になる。そのドイツ人にとって(ドイツ人の目から見て劣等国の)アメリカや日本、ましてや中国の製品、技術に頼るのは我慢のできない。ところが、劣等国である筈の日本の車メーカーがハイブリッド エンジンを搭載した車の販売を欧州(ドイツ)で始めたので、ドイツ人の誇りは傷ついた。「どうしてドイツの車メーカーはハイブリッド エンジンをまだ開発していないのか。」と記者に聞かれると、答えは決まっていて、「ハイブリッド エンジンよりも、我々のデイーゼル(ドイツ人の技師、デイーゼルが開発した)の方が優れている。」という答えが返って来る。それでは、まるでハイブリッド エンジンを開発していないのかというと、そんな事はなく、密かに(大急ぎで)ハイブリッド エンジンを開発しているのが面白い。ついでながらハイブリッド エンジンを開発したのも、元来、Boschの技師である。しかしドイツの車メーカーはこのエンジンの将来性なしとして、研究開発を行わなかった。そこへ目ざとい日本企業がこの技術に目をつけて、ドイツ人の鼻先からドイツの技術を(ドイツ人に言わせると)盗んだわけで、このハイブリッド エンジンはドイツ人の誇りを傷つける事になった。

別の例を紹介しよう。車のナビゲ-ションに不可欠なGPSだが、ドイツ人はこのアメリカの技術であるGPSに不満で仕方がない。ドイツ人に言わせると、GPSはメートル単位で誤差が出て信用に欠けるそうだ。そこでドイツ人は、誤差をcm単位にする独自のサテライトシステムを構築すると発表。流石に(世界に冠たるドイツ)でも、一国でこのシステムを構築できるほどの財力がないので、EUを説き伏せてEUの共同プロジェクトとする事になった。計画によるとmade in Germanyの(世界一優れた)技術を搭載した衛星を15個打ち上げて、画期的なナビゲーションを可能にして、港湾などで船の誘導やコンテナの積み下ろし作業をすべてコンピュータで自動化しようという壮大な構想であった。

この欧州のサテライトシステムにはGalileoという名が付けられ、2012年は始動を開始する筈だった。ところが2007年になっても衛星がひとつも打ち上げられていない。もし本当に2012年までに15個の衛星を軌道に乗せるなら、今後、3ヶ月おきに衛星を打ち上げる必要があるから、もうどうみてもこの計画通りの遂行は無理である。

計画遅延の原因は簡単で、誰もガリレオを必要としないのである。今のGPSで実質、ナビゲーションが問題なくできているのに、何で億単位の金を使って別のシステムを導入する必要がある?という訳である。だから、いくら政府が企業に計画への参加(資金投資)を呼びかけても、一向に金が集まらない。そうこうする内にロシアに続いて中国政府までが独自のサテライトシステムを構築する事を発表。このまま行くと、中国に先を越されてしまい、(ドイツ人から見て劣等製品の象徴である)made in Chinaのナビゲーションを利用する事になる。流石にそれはドイツ人の誇りが許さない。そこでドイツ政府は2007年5月に急遽(業を煮やして) 税金を使って(無理やり)ガリレオ計画を遂行すると発表した。くだらない見栄のお陰で、また税金の墓場が出来上がりそうだ。

編集後記
2012年に完成予定だったガリレオは、2014年に完成という事になった。ただし欧州内のみカバー。すべての衛星を打ち上げての本格的な稼動は、2020年になるそうだ。この記事を書いた当時、まだ計画段階だった中国のネビゲーションシステムはすでに稼動している。2014年にガリレオは本当に稼動するだろうか。


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2011年10月に初めて打ち上げられた人工衛星



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犬猿の仲であるメルセデスとBMWがハイブリッド エンジンを共同開発中
       

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