Das Ende der Geschichte (10.06.2009)

ドイツで一番大きな百貨店網、Karstadtを抱える、Arcandorグループが予想外に早く、6月9日に倒産した。数日前から(百貨店が入っている建物の)家賃が払えないことが報道されており、経営状況が厳しいのは周知の事実だったが、あまりにも早く倒産したのには、驚いた。すでに2004年の時点でこのグループの経営不振についてはここで紹介していたが、当時から不治の病にかかっており、今日まで延命措置でなんとか生き延びてきたが、今回の不況が止めを刺した。ちなみにこの倒産は、ドイツ経済史上もっとも大きな会社倒産となる。

このアルカンドーア グループの倒産に貢献したのは4つの要因がある。まず百貨店という販売形式が古くなり、客を集められなくなったことが最大の理由だ。最近では大きなショピングモールにEspritMangoH&Mなど(その他もろもろ)の専門店が店を構え、これらの店舗を目的に客がショピングモールに足を運ぶ事が多くなった。しかるに、デパートは広大な売り場面積に、一見無秩序に有名、無名な商品を並べており、客は何処に行けば、目当ての物が手に入るか全くわからず、百貨店をさ迷い歩くことになった。また、品数は豊富だが、同じような品物なので、消費者にとって「なんとなく退屈。」というイメージが定着してしまった。これに比べてショピングモールは専門店が、軒をつられているので、見て歩くだけで楽しい。歩き疲れたら、スターバックスでコーヒーを飲んで一休みできるが、百貨店では最上階にある大衆食堂のようなレストランしか休める場所はなく、魅力に欠けた。

これに加えて前社長、Middelhoff氏の功績が非常に大きい。氏はデパートの入っている建物を売却して、短期的に経常収益を黒字にして「凄腕の経営者」と自画自賛、調子に乗って、株価の目標40ユーロ。」などと嘯いた。しかし、実際には百貨店の入っていた建物を不動産会社に売却、その同じ建物を、家賃を払って借りいれるという、単なる一時しのぎを行ったに過ぎない。さらにはその家賃は、隣接する建物と比べても法外に高い値段だった。何故なら、この不動産会社は、ミデルホフ氏の経営(参加)する会社である為、家賃はわざと高く設定された。こうして私腹を肥やす為に、百貨店は毎月、法外な家賃を払うことになり、次第にこれが足に効いてきた。ここで運良くミデルホフ氏の取締役社長の契約期間が切れると、これを幸いに、氏は契約の延長を固辞、多額の退職金を手に、沈む船から一番先に逃げ出した。

さらにはアルカンドーアの所有者である大富豪銀行も倒産に貢献した。アルカンドーアは(一時的な)延命措置に6億ユーロもの金を必要としたが、あわせて50%以上の株式を所有するこの両者は、「1,5億ユーロだけ投資する用意があるが、残りの4億とちょっとは国で払ってくれ。」という提案だったので、首相、経済相共にこの提案を「所有者の積極的な意思が欠ける。」として蹴った。しかし、「所有者が積極的な意思を見せるなら、再度、申請してもいい。」という返事だったので、選挙前の今、アルカンドーア救済の妥協案が採用されるのではないかと噂され、株価が一時、20%も上昇した。ところが6月9日の昼過ぎにアルカンドーアグループは救済を再度申請しないで、その代わりに会社更生法の適用を申請したと伝わると、株の取引は一時中止され、取引が開始されると株は紙屑と化した。ドイツでは「所有者が救済の為に十分な努力をしなかった。」と非難の声が大きくなったが、所有者に倒産の責任を押し付けるのは少し無理がある。実際の所、所有者はこれまでグループに大金を投資してそのほんとんどの金を失っており、これ以上投資する金がなかったというのが正直な所だ。

最後にこの倒産に貢献したのが、Karstadtデパートのライバル会社で、デュッセルドルフに本拠を置くメトログループ(Kaufhof,Real Media Markt,Saturnなどの名前で知られる)だ。メトロは当初、Karstadtデパートの買収に興味を見せたが、法外な家賃、採算の取れないデパートの数が多いことを知っていたので、そのまま買収したのではKarstadtを倒産に導いた同じトラブルを抱え込む事になる。また採算の取れないデパートを閉めると、従業員に退職金も払わなくてはならない。これはなんとしても避けなくてはならない。そこでメトロはKarstadtの買収を、倒産するまで待つことにした。倒産してから買えば、「おいしい部分」だけ選んで、しかも二束三文で買う事ができる。メトロは国によるArcandorへの財政支援を「不公平な扱いだ。」と非難、「果報は寝て待つ」事にした。その甲斐あって、Arcandorは倒産、これでメトロは採算の取れるデパートだけ買収する事が可能になった。ちなみに、KaufhofとKarstadt合併後の名前は、Deutsche Warenhaus AGとの事。

そうそう、Arcandorグループの倒産により、通信販売のQuelleも倒産部門に含まれるので、しばらくここには注文しない方がいいかもしれない。さもないと倒産した銀行、Lehman Brothersに3億ユーロも送金したドイツの国営銀行の二の舞になりかねない。逆に旅行部門のThomas Cookは、倒産に巻き込まれていないので、旅行を申し込んでも大丈夫との事

編集後記
カールシュタットデパートには、ドイツ移民の大金持ちの米国人、投資家グループ、そしてメトロが興味を示したが、「従業員を首にしない。」と条件を出した大金持ちが1ユーロで競り落とした。デパート経営の経験がないお金持ちが、果たして時代遅れのデパートの営業に成功するのか、疑問が残る。カールシュタットデパートを安く買収しようとしたメトログループの社長は、「儲かっているから必要ない。」とインターネット(オンライン)分野へに進出を怠っていると、「あっ!」という間に同グループの業績が悪化、この責任を取らされて社長を首になった。アルカンドーアの所有者であった未亡人は、「銀行に騙された。」として、資産管理をしていた銀行に損害賠償を求めて裁判所に訴えを出した。その訴えられた銀行だが、この倒産劇で経営が傾き、ドイツ銀行に買収された。
          

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Karstadt存続の為にデモをする従業員。


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Karstadtの屍から死肉をつつくメトロの社長。
  

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Karstadt倒産に最も貢献したMiddelhoff氏。


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