太陽発電 (22.06.2009)

景気が悪い時期なので、今回は景気のいい話を紹介。年中太陽が照っているタイでは、何処に行ってもクラーラーがガンガン効いており、寒いくらい。タイ人というのは、中庸の精神がないのか、思いっきり寒くしないと気がすまない。そこで寒くなると、クーラーを弱めるとかしないで、上着を着る。ものすごい電力(資源)、金の無駄だと思うが、タイでは電気代が格安なので、そのような考えはキーニイアオ(ケチ!)と言われ、みっともない事とされている。だから高層ホテルの窓からバンコクを見下ろしても、ソラーシステムなど見る事がない。もっとも資源がますます希少になっていく中で、いずれタイでもドイツのような電気代金が請求される日が来る。そうなれば、他のエネルギー源を探す事になるだろうが、タイは年中太陽が照っているので、風力や水力発電よりも、太陽発電が活躍する事になるだろう。

ここで何度も書いている通り、ドイツではすでに電気代金が高騰している。その原因のひとつはドイツの総発電量の82%を石油、石炭、ガスに頼っている為。これらのエネルギー源はドイツ国内で産出できないので輸入に頼っているが、ドイツの発電所に届く頃には、数倍の値段のになっており、当然、電気代は高くなる。褐炭だけはドイツにも掃いて捨てるほどあるが、この燃料は他の化石エネルギーに比べて二酸化炭素の排出量が高く、「環境先進国」と自画自賛している手前、褐炭発電所を無造作に増やすわけにはいかない。これに加えて、1986年にチェルノブイリの原発の事故で原発反対運動が盛り上がった際、政府が人気を取るために、2020年までにドイツで稼動中の原発の廃止を国会で可決してしまった*。これにより現在原発で発電しているエネルギーが欠ける事になる。必要な電力を、ますます減っていく資源(輸入)に頼らないで、環境にやさしい方法、例えば風力発電で補おうとしたら、ドイツ中には風力発電の柱が林立する事になり、また風力発電はとても金がかかるので、今の電気代を倍にしても間に合わない。(2000年~2008年で電気代は50%上昇している。)まさにお先真っ暗の状況である。

しかし、将来電力が不足するのを知っておきながら「困った、困った。」と愚痴をいい、その日が来るのを待っているのではドイツ人とは言えない。ドイツで有数の大企業(20社前後)が共同事業を組んでアフリカに巨大な太陽発電所を建設すると発表した。その費用は現時点で巨額の4000億ユーロと見積もられており、この額はドイツ政府が今回の大不況の景気対策に導入した金額の7倍程で、この不景気な時期になんとも景気のいい話だ。計画では、原発が廃止される2020年までにドイツで使用される総電力の15%を太陽発電でまかなう事になっている(現在、原発はドイツで生産される発電量の11%前後を占めている。)。太陽発電と言うと、屋根の上に備え付けているソラーパネルを想像されるかもしれないが、このソラーパネルは製造費がかかるので、発電所としてはペイしない。そうではなく、屈折した鏡(磨いたアルミ)で太陽光線を束ねて高熱を作り出し、この熱気でタービンを回して発電する方式だ。こうして発電した電力を高圧電線でドイツまで運んでくる計画だが、現時点ではこの高圧線での電力の「移送」が技術上の問題点。しかし、この点でもドイツは先見の明を発揮、ドイツの環境庁がすでに2006年にドイツ企業に新しい技術開発を依頼して、研究結果が出ており、技術上は「実現可能」なレベルにある。

言うまでもなく、この太陽発電を建設する段階で数々のトラブルが発生してくるだろうが、成功すればドイツの新しい輸出の目玉商品が誕生する事になる。今後、化石エネルギーが希少になり燃料価格が上昇すると、太陽だけはふんだんにあるが、オイルやガスなどの地下資源に恵まれていないタイやカンボジアなどのアジア諸国で需要が発生するだろう。環境汚染上の観点から、インドや中国での需要も見込まれるし、オイルが枯渇した後、アラブ諸国にこの太陽発電所を売り込む事も可能だろうから、まさに濡れ手に粟で、今までのオイル、ガス、石炭などに依存していた経済体制から180度転換することになる。勿論、この計画が成功すればだが。

日本政府は、将来のエネルギー源として核エネルギーに頼っているようだ。核分裂ではなく、核融合でエネルギーを得る事が可能になるような技術が発明されれば大当たりだが、現在の核原発では危険が大きい。それよりは今の技術で可能な太陽発電に力を入れた方が、10年、20先のエネルギー源としては確実ではなかろうか。それに日本は天気がいいので、ドイツのようにアフリカから高圧線を曳く必要もなく、ドイツよりも太陽発電所のポテンシャルが高いように思える。是非、天気が良く、台風も滅多に来ない郷里の岡山の小豆島にでも巨大な太陽発電所を建設してもらいたい。

* その代わり、ドイツの電力会社/RWEは汚職の蔓延しているブルガリアなどで原発を建設中だ。「地震が多いブルガリアに原発を立てるのは危険。」という環境団体の反対は、圧力をかけて潰している。原発完成後は、ドイツへの電気の「輸出」も視野に入っている。なのに、ドイツだけで原発を廃止しても意味がないと思うが、ドイツ領内に原発がなければ「後は野となれ山となれ。」という事らしい。
          
編集後記
この記事は、日本で原発の核炉心が融解する核事故が起こる3年ほど前に書かれている。どうして日本では、来る危険が見えなかったのか。電力会社は「予見のできなかった事故。」というが、果たして本当だろうか。過去に地震、津波があったその場所に原子力発電所を建設、非常時に原発を冷却する緊急電力を原発の前に「波除け」として建設した為、津波で緊急電力が使用不能に陥ってしまった。ここまで落ち度が重なると天災ではなく、人災である。
          

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カリフォルニアで稼動している太陽発電所。


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