Piano Mann  (09.09.2005)



2005年初夏、朝早くロンドン市内を散歩していた市民が、ずぶ濡れの服装でうつろな目で街を徘徊している若者を見つけて警察に通告した。この若者は病院に運ばれて健康状態をチェックされたが、担当医に対してこの若者は、「何も思い出せない。」と言うばかり。アクセントからして外国人である事が確かなので、最初は不法入国をたくらむ外国人であろうと推測されたが、念の為、病院の専門医が精神状態を調べてみたら、どうも記憶を喪失したらしいという結果に達した。

医師達は何とかして身分をはっきりさせようといろいろな質問をするが、患者は「何も思い出せない。」と言うばかり。とにかく、このまま放り出すわけにもいかないから、病院に収容されて、診療を受ける事になった。ある日、看護婦が偶然、ピアノの話をしたら、この患者がピアノ事に関しては思い出せるようで、ピアノに関して話ができる事が判明した。そこで試しに病院にあったピアノを弾かせてもたら、この患者が見事にピアノを弾くのである。看護婦は驚いて担当医に報告。どこからかこの話を聞きつけたかDaily Mirrorが、記憶を失くしたPiano Mannという見出しで取り扱ったからこの記憶喪失の患者は一躍有名人になり、大いにロンドン市民の同情を買った。

その後、この「悲劇」はヨーロッパ中に新聞で紹介される事になり、ヨーロッパ中から、「彼を知っている。」という問い合わせや通報がが殺到した。中でも最も真実味があったのがチェコで行方不明になっていたピアノ奏者が彼に違いないというものであった。結局、このピアノ奏者は別人である事が判明したが、謎のピアノ奏者をめぐって話題は大きくなるばかり。しかし肝心のPiano Mannはピアノ以外の事は一切、思い出せないようで、一向に自分の事を語ろうとしない。数ヶ月後、

ある朝、看護婦がこの患者の部屋に入って何気なく「今日は、話す気になった。」と話しかけると、突然、記憶を喪失していたハズの人間が身の上話を始めた。それによると彼はバイエルン州に住むドイツ人で 、仕事を失くして生きる希望をなくしてロンドンまで自殺に来たのだと告白。記憶を失くした話は、以前見た映画から思いついたという。あまりに話が大きくなったので、耐え切れなくってこの告白に至ったわけだ。この人騒がせなピアノ マンはその週のうちに、家族の住むバイエルン州に無事帰国した、、。

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Piano Mann

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