徴兵制度 (31.03.2004)


ドイツは世界で初めて徴兵制度を導入した国です。プロイセン時代に小国でありながら、強力な軍隊を持って領土を拡大していったのは、この徴兵制度によって、兵役に適した若者を片っ端から徴兵して大きな軍隊を持つ事ができて初めて可能でした。
時代は変わっても、そのプロイセンの伝統は行き続け、第二次大戦の敗戦後、その徴兵制度は復活を果たします。余談ですが、ドイツ語には兵隊用語がたくさん用いられている事はご存知ですか。Im Vorfeld(前衛は/まずは)とか~ in Angriff nehmen(~を攻撃する。/~に着手する。)、極端な表現では、generalstabsmässig(参謀本部計画のような/正確な)なんて表現まであります。まるで日本語の 『腹をくくる。/決める。』と似ています。つまりが、ドイツの文化/言葉がその真髄からプロイセンの伝統を受けついでいるわけです。ところが、21世紀に入ってドイツのドイツたる由縁(?)の徴兵制度が 廃止の危機にさらされています。
徴兵期間は毎年短縮され、今ではたったの8ヶ月のみの徴兵期間となっていますが、今の世代は自由気ままに育っただけに、命令に従うなんて 大っ嫌い。軍隊生活なんか病気のように嫌っていますから、例え8ケ月と言えど軍隊に入りたくありません。そこで何か言い訳を口上してZivildienst(民間奉仕)に転換してもらっています。これに加え、軍隊の定員が毎年削られて、たとえ軍隊に入りたくても入れない状況も出てきました。
たまたまこのとき、徴兵カードをもらったケルンの学生が軍隊に入るのが嫌で、弁護士を使ってケルンの地裁に国を相手に訴えを起こしました。本人は、自分の意思に逆らって軍隊に入れられるのを阻止したいという個人的利害から起こした訴訟ですが、結果をしてドイツの徴兵制度の根底を揺さぶる判決となりました。
判決は原告の勝ちで、『この学生は軍隊に入らなくてよい。』というものでしたが、衝撃を巻き起こしたのはその判決理由でした。もともと、徴兵制度は、国民(男性)が皆、公平平等に徴兵されるから意味があったのですが、最近の軍隊削減によって徴収されるのはほんの一部の青年である 為、徴兵制度の根幹を成す公平、平等の 原則に反するというのが判決理由でした。言い換えれば、軍隊に徴収される不平等も公平に分けられていれば、平等の原則が成り立ったが、現状では、平等の原則は成り立たないという事です。これによって、徴兵されたくない者は誰でもこの判決を理由に持ち出すだけで、徴兵を免れる事が可能になり、しかも徴兵制度自体がその法律上の正当性を失ってしまいました。この判決によって、長く続いたドイツの伝統が無くなるのも時間の問題となりました。

02.jpg
2001年から女性もドイツ軍に入隊できるようになった


01.jpg
自衛隊でも是非、導入して欲しい防寒装備


スポンサーサイト

0 Comments

Post a comment