国境を守れ!  (16.12.2013)

「これ以上ひどくなるなら、ドイツに移住しなくちゃ。」と、福島原発事故を報道していたドイツのテレビ局に小さなお子さんを抱えた母親が語っていた。原発廃止を打ち出したドイツは、原発事故で悩んでいた日本の国民に休息の地に見えたのかもしれない。が、現実は甘くない。「ドイツに住みたい!」と言えば、ドイツ政府が「おこせやす。」というものではない。

ドイツに住むには、居住を希望する地方自治体から許可を取らなければならない。そこで地方自治体にある外人局に行き、「住みたい。」といっても許可は下りない。そんな簡単に許可したら、ドイツの社会保障制度で生活する外国人がドイツに襲来、ただでも破産しかけている地方自治体が破産する。そんな事にならないように、ドイツ政府は厳しい外国人の受け入れ基準を定めている。早い話がドイツに工場を建てて雇用を創造するとか、現地に支店を開設して税金をたっぷり払うなど、ドイツにとっておいしい話である必要がある。例外は、「難民を受け入れましょう。」とドイツ政府が自発的に受け入れるケースだが、あまり期待しないほうがいい。シリア内戦によりか9百万を超える難民が発生しているが、ドイツ政府がこれまでに受け入れる用意があるといったのはわずか1万人だ。そして実際にドイツに来ることができたシリア難民の数はわずか16%、1500人である。「受け入れる用意がある。」という声明と、実際の受入数は別物である。

このように今日では欧州の何処の政府も、「どうやったら外国人をていよく追い払う事ができるか。」という事に終始している。安部首相が福島原発は"under Contorol"(制御できている。)といい、核爆発を水素爆発だと主張しているので、ドイツ政府が日本からの原発事故移民を受け入れる可能性はかなり低い。これを象徴する例があるので、ここで紹介してみよう。

イタリアの「つま先」のさらに先にシチリア島がある。ここから南、200kmの地点にイタリア版、沖ノ鳥島であるLampedusa島がある。この島はチュニジアから130kmしか離れていない為、欧州での生活を夢見る移民の最初の目標となっている。全アフリカは言うに及ばず、最近ではシリアからも「目指せチュニジア!」と移民希望者が集結してくる。するとそこには人間の密輸入を商売とする犯罪者が手ぐすね引いて待っている。ここで移民は、人の命を金儲けの目的としか見ない犯罪者に、家財を売って集めた金4000~5000ユーロもの大金を払う。極悪犯罪者は老朽化して廃船となった船を購入すると、水漏れを応急措置、立錐の余地なく移民者で甲板を埋めると、夜の暗闇に紛れてランペドゥーサに向かって出発する。

運がいいと、船は乗客を乗せすぎたのでわずか数キロ進んであっけなく沈没する。しかし移民の何人かは泳いでチュニジアまで戻ってこれる(何故かアフリカ人には泳げない人が多い)。運が悪いと沖合いでエンジンが停止して、地中海を延々を漂浪するか、応急処置をした穴から海水が浸入して、船は沈没する。1~2日すると水死体がランペドゥーサの海岸にたどり着くので、現地の警察の日課は毎朝、海岸線を水死体を探して歩くことから始まる。ちょうどこの10月に大きな漁船が沈没、300人を超える難民が溺死、おびただしい数の水死体が海岸に打ち上げられた。世界中からEUの移民対策への非難をかわす為、EUを代表して議会長のBarosso氏が同島を訪問して献花した。この惨状を見たスペインやギリシャは、「他人事ではない。」と真っ青になり、国境に棘がついた柵をめぐすなどの移民対策を施した。イタリアはEUから移民対策として3000万ユーロをゲットすると、監視船の数を増やし、移民がランペドウーサに近づく前これを捕捉、チュニジアに送り返す事にした。

これが欧州の移民政策である。ドイツに限って見れば、幸運なことに南からの移民がボートでドイツまでやってくることはない。ドイツの問題は、いろんな方法でドイツ領に入ってから、「亡命を希望します。」と言われた場合だ。ドイツの法律では、亡命を希望する者は、一度ドイツ国内に受け入れて、そこで審査を受ける権利がある。すなわちエチオピア沖で海賊がドイツ国籍の船を拿捕、ドイツ軍がこの船を海賊から解放したとする。そこでこの海賊が、「亡命を希望します。」と言えば、ドイツ軍は海賊をドイツまで連れ帰り、裁判後、亡命として受け入れるかどうか、審査しなくてはならない。大概はこの審査に落ちるのだが、問題はその後。パスポートを放棄してから亡命を希望するので、本国に送り返そうにも、何処に送り返せばいのかわからない。こうしてまんまとドイツに居座る外国人が多いので、ドイツ政府は、「亡命を希望した場所(国)に送り返す。」事にしたが、シリア人をチュンジアに送り返すわけにもいかず、頭痛の種となっている。

こうしてまんまと亡命に成功した外国人、そして審査中の外国人は、Asylheimという地方自治体が用意した市営団地に入る。ところが先住民にはドイツ語を話はない、肌の黒い異教徒が近くに住むのに我慢がならない。ちょうどベルリンの東端、Hellersdorfに亡命団地が出来上がると先住民がこれに猛反対した。ネオナチもこれを絶好の機会とばかりに示威行進、「誰が外国人の滞在費を払うのか!(ドイツ人だ!)」と、右翼思想が普及している日本人にも理解できそうな理屈で、これに反対した。右翼の天敵、左翼(パンク)も何故か移民に反対して建物を占拠、警察を攻防を繰り返している。わずかな(良識のある)市民だけが、「本国に居られない可愛そうな外国人は受け入れるべきだ。」と反対デモを行ったが、その声は反対派にかき消されてしまいそうだった。

ネオナチの温床となっている東ドイツではこの兆候は、すでに少数派ではなく、メインストリームになっている。東ドイツの片田舎、Hoyerswerdaであるドイツ人カップルがネオナチへの抗議行動に参加した。ネオナチにはこのドイツ人の行動は、ドイツの大義への反逆行為と写った。そこでこのカップルへのテロを開始、アパートの前で数時間にわたって威嚇行動を取った。カップルが警察に助けを求めると、「身の安全の為、この町から出て行きなさい。」と警告された。警察によると、たかが2命の市民の安全を守るために、無数のネオナチを取り締まる事はできないという。それよりもこの二人が町を出てくれれば、「丸く収まる。」と言うのだ。この一件は、カップルがネオナチを裁判所に訴えた事で全国的に有名になった。ネオナチの脅しに警察が何も行動を取らなかったことに対して大きな非難が起こり、警察は謝罪をする羽目になった。しかし、このカップルは顔と名前が知れ渡ったので、もうこの町では生活できなくなり、結局、引越しを余儀なくされた。ネオナチの思惑通りの結果である。

日本では往々にして「外国はいいところ。」という箇所ばかりが誇張して報道されるが、実際には日本同様に多くの問題を抱えている。さらには外国人にとって、ドイツは決して天国ではない。「ドイツに住みたい。」という相談を受けることが多々あるが、ドイツを願いがかなう夢の国のように考えている方が少なくない。移住をする事のマイナス面にも目を向けてみよう。例えば大学卒業、資格獲得などの目標があったとする。これに達するには、ドイツでは日本の倍の努力が必要になる。それでもドイツに!という覚悟があるなら、あなたはドイツ留学しても大丈夫。「ドイツに行けば日本でできないことが簡単に、、。」と思われている方、厳しい現実が待ち受けています。 
  

難民受け入れに抵抗する右翼と、
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左翼。
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