信ずる者は救われる。 (05.04.2014)

ドイツには教会税というものがあり、住民登録の際に「カトリックです。」自ら申告すると、お給料から教会税が天引きされる。日本では(キリスト教徒であれば)、「クリスチャンです。」という言い方が一般だが、ドイツでは宗派を言うのが一般的。教会税は当然のことながら、仏教徒、イスラム教徒は免除される。「じゃ、なぜ教会税なんて払う人がいるの?」と思われるのは日本人の証。教会税を払っていないと、挙式を教会であげれないのだ。カトリック教会は離婚を許していないので、二度目の結婚では教会は使えない。「だったら教会税を払っていても仕方がない。」と一度、結婚式を挙げてしまうと教会から離脱する人が少なくない。お葬式も教会で行いたいなら、そのまま教会税を払っておくべきだろうが実際家のドイツ人には、「死んだ後の事なんかどうでもいい。」と考える人も多い。もし、「ドイツの教会で結婚したい。」と考えているなら、まだ教会税を払っているドイツ人をゲットしよう。

国が税金を天引きするということは、ドイツではキリスト教の牧師は公務員扱いになるということである。それも国家公務員扱いなので、結構いいお給料が出る。小さな教会の牧師でもA13という国家公務員のお給与基準が採用されて、その額は3700ユーロ程度。日本円で34万円、税込み。ここから所得税や健康保険料などが引かれ、手取りは2400ユーロ程度。果たして牧師も教会税を払う義務があるのか、それはわからない。年金は国が払ってくれるので、一般市民のように毎月コツコツと払い込む必要はない。住む場所が無償で提供される事を考えれば、国家公務員らしくかなり優遇された生活だ。

40歳に達するとさらに昇進して、A14という国家公務員のお給与基準が採用され、お給料は5000ユーロにも達する。手取りは3700ユーロ程度で、邦貨で軽く50万円を超える。そうそう、これらのお給料は年間13回支払われる。キリスト教なので、キリストの誕生した12月には2回お給料が支払われ、年俸はほぼ1千万円。司教になるとお給料は倍。さらに大司教になると「社用車」がついて、毎月1万2千ユーロを越える高給取りになる。皆まで言えば、司教の広大な敷地で勤める使用人のお給料は75%が国が請負い、残りはお布施などの収入で支払われるので、お給料が減ることはない。

「富を持つと、もっと欲しくなる。」のは凡人だけでなく、聖職者にも通用する。デユッセルドルフからフランクフルト空港に向かうと、立派なカトリック教会が見えてくる。このリンブルクという町の司教が、地位にふさやしい居住環境をご所望された事から話は始まる。カノッサの屈辱を避けたい州政府は、司教様のご要望をふたつ返事で了承、500億ユーロ(7億円)もの工事費を厳しい州予算から捻出した。ところが工事はいつまで経っても終了しないどころか、拡大を続ける改装工事に信者はいい気持ちがしなかった。信者が司教に改装費用の詳細を求めると、司教様は貧乏人の厚かましい要求にご気分を害された。司教様は州政府から認可された改装工事である事を、愚かな僕にお告げを下されると、改装工事の音と愚かな僕の声が届かないインドまでご視察に出かけられた。言うまでもなく教会の予算でファーストクラスでのご公務である。インドではマハラジャのような御殿にお泊りになり、昼間は快適な車でゴミのような大衆を視察、異教徒の愚かさを視察されて、居城にお戻りされた。

司教のインド視察は、信者の我慢の樽をあふれさす一滴となった。「これ以上、司教の好き勝手にさせておけない。」と信者が団結して立ち上がり、カトリック教会に対して司祭の解雇と工事費用の明細を要求した。司教様は低所得者層の抗議を無視、これまで通りの司教生活を続けていたが、メデイアが司教様の御殿を報道するに至り、カトリック教会はついに思い腰を上げた。このまま報道が続けば、教会税を払ってくれる信者の離脱を懸念してのことである。リンクブルク司教はローマに飛んで、これまでの釈明をする事になった。会見の内容は秘密とされたが、教皇は事実関係を調べる為に司教会議を設置して、ここで改装工事費用を調査させ、同時に司祭のこれまでの行動が神のご意志に沿うもであるかどうか、検証されることになった。調査が完了するまで司教様はご休暇を申し付けられ、代理の司教がリンブルクに派遣されたので、信者の怒りはひとまず収まった。

その後、数ヵ月後に調査結果が出た、これはまずはローマ教皇に報告されて、ここでその後の対が協議された。教区民ばかりか、いまやドイツ全土が注目している調査結果は2014年3月になって一般に公開された。そこには司教の主張する500万ユーロではなく、その6倍強の3100万ユーロの改装工事費用が見積もられていた。このふんだんな資金で、司教様はご自宅をまるで中世の諸侯の居城のように増築、改装した。ほぼ出来上がった司教様の「自宅」は、司教様の妄想にふさわし出来栄えであった。ようやく明らかになった改装費用により、改めて「公私混同」の非難と直面した司教様は、「私は神の僕であり、建築工事の専門家ではない。」と弁護、工事費用がこんなに膨らんだのは、司教様に工事費用を一切知らせなかった秘書のせいにした。

しかしながらこの報告書を作成した司教会議は、司教様は工事費用の増大について毎回、報告を受けていたと結論していた。ドイツ中探しても司教様のいい訳を信じる者は少なく、司教様は教皇様に宛ててリンブルク司教職からの解任を要請する手紙をしたためる旨、おおせつかった(司教の任命、解任を決定できるのは教皇だけである)。教皇がこれを受理すれば、ルターのような厄介者を生まないで、スムーズに聖職者を解任できる。教会や日本のNHKなどの封鎖的な機関で好んで用いられる手段である。そして教皇はこれを受理した。この決定に驚くものは(本人を除いて)誰もいなかった。こうして司教様は折角、大金をかけて自宅を改修したのに、そこに住めるのは、何もしていない後任者となった。

こうしてドイツ中が注目したスキャンダルが終焉に向かうと誰もが思った頃、リンブルク教会にBMW5シリーズのフル装備車が届けれた。驚いた(新しい)司教が、「一体、誰が車を注文したのか。」と秘書に調べさせると、なんと首になった司教様が謹慎処分中の1月に、「謹慎処分が解けたら。」と社用車を注文されていたことが発覚した。本人は本気で神のご意志で行動しているので、「首になる筈がない。」と確認していたのである。「なんと可愛そうな司教様!」と思われる方、どうかご安心されたい。数年前、アウグスブルクの司教様が児童に性的虐待(実証されただけでも50件以上!)を行った廉で退職された。その司教様にバイエルン州政府、毎月5600ユーロの年金を支払っている。リンブルクの司教様にも似たような年金が支払われるだろうから、好きなBMWは自分のお給料で買える。「信じる者は救われる。」というのは、誠に真実であった。アーメン!

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