Schuldneratlas  (14.11.2015)

11月8日に"Schuldneratlas"が発表された。"Schlden"は借金、"Atlas"は勢力/分布図という意味だ。この報告によると去年だけで「借金で首がまわらない」という市民の数が19万増えて、ドイツ全土で660万人もの数に上った。すなわち成人10人のうち、一人はこの借金苦の状況にあることになり、過去最悪も数字だ。とりわけ経済基盤の弱い都市ではこの兆候は著しく、かっては造船業で栄えたブレーマーハ-フェンは堂々の首位に君臨、成人の5人に一人は返せない額の借金を抱えている。これに追随するのはかっては石炭、製鉄業でドイツの工業都市の中心部だったルール地方で、とりわけヴッパタール市民は借金苦で苦しんでいる。

返せない借金を抱え込む人は何も経済基盤の弱い都市だけに限らず、大都市にも多くなている。特にベルリン。年代別で見ると、30歳未満と60歳以上の世代が借金を抱え込んでしまうケースが急増している。前者の場合、その原因は若者の間でステータスとなっているスマートフォン、流行の服、男性の場合はさらに車だ。若いので収入が少ないのに、カッコをつけるために、又、仲間外れにならないように無理をして分割払いで携帯電話を買う。それだけ済まず、次には家電製品を買う。こうして歯止めが付かなくなる。ドイツ人が抱えている借金を、ドイツの全人口で割れば、一人頭2741ユーロになる。この数字はドイツ人が馬鹿にしているギリシャ人(キプロスを含む)の2808ユーロに次ぐ数字で、イタリア(1793ユーロ)、スペイン(1513ユーロ)よりもひどい。このままでは、ドイツ人が欧州の借金王になる日も遠くない。ちなみに借金の世界チャンプは米国で、ユーロに換算して5620ユーロもの借金を一人頭の人口が抱えている。

若い人は所有欲、見栄に負けて借金を抱え込むが、30代以上では失敗した起業、病気、離婚、失業が借金の主要な原因となっている。その一方で借金をしてマイホームを購入、その支払いができずに借金を抱え込む人はわずか2%と、金額はでかいが割合は低い。社会のひずみが見えてくるのは、仕事に就いてるのに、派遣のため収入が低く、年金の掛け金が払えない人が増えている点だ。国が年金制度を改革したために、国民年金では老後の生活はできなくなった。「足らない分は、自分で補いなさい。」と政府は言うが、少ない収入からどうやって補うのか、その説明はされていない。こうして60歳以上の世代が、生活に困って借金を溜め込む数が増えている。将来、この層が年金需給の67歳に達したら、とても少ない年金では生活できないので、生活保護を申請することになる。結果、すでに高価なドイツの社会保障費はさらに上昇する。しかし就労できる若い層は減る一方で、さらに借金苦。どうやってこの増大する社会保障費を払うのだろうか。

元来、ドイツ人はケチで、ドイツの国内消費が低く、その他のEU加盟国から、「お金を溜め込まないで、国内消費を増やせ。」と常に苦言を言われてきた。ところがここ数年の好景気でドイツ人の心配、「仕事を失って、分割払いができなくなるかもしれない。」を払拭したので、借金をする人が増える結果となっている。実際、景気の悪いスペインやギリシャでは、借金をする人の割合は減る一方だ。そう考えれば借金をする人が多いのは、経済の調子がいい証拠ではあるが、返せるかどうか考えもしないでネットで次々に最新の電子機器を注文する人が多いのも事実で、ドイツ人の購買(債務)意識は数年前から明らかに変わってきている。将来はアメリカ式の消費社会に変化していくのだろうか。


一つじゃ足らないの?
542.jpg


          
スポンサーサイト

Comment 0

Leave a comment