売春法改正 (20.02.2016)

建前と本音。往々にしてアジアでは面子を重視するあまり、建前を優先する。ドイツ人は政治家でない限り、"praktischen Nutzen"(実際の効果)を優先する。わかりやすいように実例を出そう。日本の警察が大好きな一時停止線。スピードを落として安全を確認するだけでは不十分で、完全に停止してないと、「道路交通法を守らなかった!」と罰金を課す。「ちゃんと安全を確認したじゃないか!」と言っても、「停止していない。」と耳をかそうともしない。安全(本音)ではなく、建前(一時停止)を優先する日本人らしい考え方だ。ドイツでは警察であろうとも、一時停止線で停止しない。大事なのは安全を確認することで、本当に停止したかどうか、「枝葉の事」なのだ。

体裁、面子を重視するアジアでは、日本を始めとして売春が違法な国が多い。しかし売春を禁止しても、売春がなくなるわけではなく、この商売は地下に潜るだけ。地下にもぐると組織犯罪の財源になり、売春を強制される女性が後を立たない。ドイツでは売春が組織犯罪に利用される懸念から、「違法でもなければ合法でもない。」という曖昧な状態が長く続いていた。わかりやすく言えば、違法ではないので売春をしても逮捕されることはなかった。ただし法律で認められている職業ではないので、契約相手が契約を守らない場合、「お金を払ったのに、サービスを受けれなかった。」と訴えることもできなかった。

ところが欧州裁判所はある訴えで、「売春は生業のひとつ。」との判断を下した。すなわちもし売春婦が契約を履行しない場合は、契約主には損害賠償を請求する権利が生まれることになった。ところが契約主が売春婦にサービス料金の支払いを拒否した場合、契約主が売春婦の財産に損害を与えたとはみなすことができず、未払い金の請求権がないという一方的な状況が生じた。これを是正するために2001年に売春法が設定されて、売春は立派な生業として認められることになった。すなわち売春業は、職人に自宅のリフォームを頼むと一緒で、サービス業として認可された職業となった。結果、売春婦は他の生業と同じく、稼いだお金には税金が課され、収入から国民健康保険費用、失業保険費用、そして国民年金の掛け金の支払い義務が生じることになった。

ではどのくらいの税金がかかるのだろう。ドイツでは所得税は地方自治体の財源なので、税率は自治体が自由に決めることができる。すなわちベルリンでは20ユーロ/日で済むが、ケルンでは30ユーロ/日だ。さらに「アルバイト」、すなわち副業として売春をしていると別の税率が課されるので、「ドイツでは売春税は幾ら。」と一概に言うことはできない。又、法律で認められた職業なので、ハローワーク、ドイツで言えば、"Jobcenter"に行くと、「売春婦募集」の求人広告も出ている。ただし失業しても、「売春業はどうですか。」と薦められることはないし、「長く失業しているんだから、この仕事に就きなさい。」と強制されることもない。あくまでも売春を生業として働きたい人だけが、自由意志で働く場合に限り合法だ。皆まで言えば、売春は基本的に自営業なので、被雇用者としての就労を許可するワーキングホリデービザ、あるいは雇用先が限定されている労働ビザで、売春業を営むのは違法就労となる。

とは言っても、売春が合法のドイツでも、女性が売春を強制されるケースが今でも後を立たない。その手口はこうだ。ルーマニア、ブルガリア、あるいはウクライナなどで、「ドイツで働いてみませんか。」といろんな場所で広告が出ている。これらの国では、「ドイツで働く」とは、「儲かる。」と同じなので、この派遣に申し込む人が多い。それも若い女性が。「ドイツではホテルやレストランで働きます。」と本人を納得させてドイツまで連れて来ると、売春宿に監禁、休みもなしで客を取らされる。逃げようにもパスポートを取り上げられているし、言葉も通じない。さらに、「逃げたら両親に復讐する。」と脅されて、逃げる勇気のある女性は少ない。数年前、ドイツの売春宿で「フラットレート」システムが導入された。一度入場料を払うと、あとは何時間でも追加料金なしというシステムだ。この「フラットレート」はドイツ人男性に大いに好評だったが、「女性の尊厳を傷つける。」として、幾つかの地方自治体では禁止されている。

売春法の欠点が幾つか明らかになってきたので、売春法の改正が与党内で長く討論された挙句に改正案が議決された。今後、「売春宿を経営しよう!」という人は、市役所で営業申請を行い、営業許可を取ることが義務化された。これにより違法な売春宿の経営を防止して、かつ、そのような違法の売春宿の摘発が容易にできるようになる。同時に売春宿で働く従業員は、自営業の申請をする事が義務化された。この申請は本人が出頭して行う必要があり、代理人の申請はできないので、これまでのような人身売買、そして売春の強制は困難になる(筈だ)。そしてドイツ人男性ががっかりしたことに、コンドームの使用も義務化された。「ははは、じゃ使わなかったら罰金ですか。」と甘く見ないほうがいい。ウィキリークスの創始者アサンジ氏は、スウデ-デンで性交の際、コンドームを使用しなかったとして傷害罪で訴えられ、2012年にアクアドルの領事館に逃げ込み、今でもここで逃亡生活を余儀なくされている。そのような場所に出向く男性は、「女性は毎月、性病の検査を受けている。これは義務なんだよ。」と主張する。実際には義務ではなく、あるまで自営業者の自由意志に任されている。又、売春を21歳からとする試みは、失敗した。よりによって女性団体が、「とりわけ若い女性が金銭的な問題で売春をせざるを得ない状況もあり、これを違法化すると組織犯罪のいい鴨になる。」と主張したためだ。

ドイツでも売春業は"Bandido"を初めとする組織犯罪が経営している。「売春は合法」という安心感からか、日本人「観光客」にも人気で、ドイツに出張、観光に来た記念によく訪問している。買春宿はドイツ語は、"Bprdell"(買春宿)というが、この言葉を使用せず、"FKK"と呼ばれることも多い。しかし"FKK"はソープランドという意味ではなく、"Freikoerperkultur"の略称で、「裸で過ごしたい!」という趣向を指す言葉だ。湖などですっぽんぽんで泳ぎたい人専用の区域を、「"FKK"可」と指定しており、売春とは関係ない。FKK、サウナクラブ、あるいは単にマッサージサロンと本来の意味とは異なって呼ばれている売春宿は、ほぼマフィアの経営なのでそのような場所に行かれる方は、トラブルをおこさないように注意されたい。マフィアの抗争でいきなり銃撃戦が始まることもある。それほど危なくないのは、ケルンの有名な売春高層アパートを代表とする売春宿だ。ここでは売春婦がアパートを賃貸して、アパートの廊下で客を勧誘する。アパートの経営者は売春業ではなく賃貸業で、「アパートの住人が借りた部屋で何をするか、それは賃貸人の自由で私の関知することではない。」というわけだ。欧州最大の買春宿はシュトットガルトの郊外にあるが、値段も立派。入場料だけで50ユーロ(2時間まで)だ。

そして何処の町にも違法の売春宿がある。表向きは(ネット)カフェなのだが、みるからに怪しい。入って飲み物を注文すると、お姉さんが出てくる仕組みだ。地元の人はよく知っているが、旅行者にはわからない。そしてアパートの一角を使って密かに経営してるケースもある。宣伝などはなく、「口コミ」だけで広がるので、現地人と仲良くなると教えてくれる。「えっつ、そんな場所にあったの?」と驚くばかり。よーく見てみると、確かに外国人風のお姉さんが頻繁に出入りしているが、事情を知らない人間には全くわからない。国境沿いの町は、西側でも東側でも買春のメッカになっている。西側では、「ドイツでは合法だから。」と出張にやってきて、東側では、「ドイツ側のほうが値段が高いから。」と出張にやってくる。最後にクラッシックなのが、路上でのキャッチセールス。薬物中毒の女性が少なくなく、薬が切れると早朝から営業している。警察も頻繁にやってきて、「ここでは禁止です。」と追い払っている。ドイツでは売春を行ってもよい地区が決まっており、営業許可があればどこでも営業できるというものではない。アパートを借りる際は、そんな地区のアパートに当たらないように注意しよう。アジア人女性はドイツ人に大人気なので、アパートを出た途端、中年男性に話しかけられたり、不愉快な経験をする。大家さん、不動屋さんはそんな事は一言も言及せず、「今、とってもトレンデイな地区。」として宣伝しているので、あてにはならない。契約する前に、現地の事情に詳しい人に付近の事情について聞いてみよう。


欧州最大のエロスセンター。前も後ろも売春アパート。
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