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チャンス到来! (15.11.2016)

前の記事で、「これが日本企業のチャンスとなるだろうか。」と書いたばかりなのに、いきなりチャンスがやってきた。悪化する一方の都市部の空気汚染を解消するために中国政府は、木炭を使った露店の営業を禁止するなどの方策を試したが、効果がなかった。「小手先の手段では解決できる問題ではない。」とようやく悟った政府は、「2018年以降、中国で販売する車の8%は電気自動であること。」と共産主義政権ならではの強硬手段に出た。この電気自動車(プラグイン ハイブリット社も可)の割合は2019年には10%、2020年には12%と上昇する。この条件を満たさないメーカーは、「ポイント」を買うことが義務化される。これは欧州でいう空港汚染証券と同じで、大量に二酸化炭素を排出する企業は、食空気汚染のポイント(証券)を買う必要がある。そしてこのルールは外国企業、中国企業の差別なしに適用される。中国政府としては珍しく、外国企業を差別しない規則だ。表面上は。

豊田に追いつき、追い越せ!とトヨタのバンパーにまで接近していたフォルクスヴァーゲン(以下、VWと略)にとって中国は最大の自動車市場で、2015年には355万台もの自動車を売りまくった。一方、トヨタは122万台でVWと比べてたったの1/3。かってはトヨタが一番だったのに、日本政府と中国政府の関係悪化で、日本車の人気が低迷、ドイツ車はこの隙間をうまく利用した。VWの自動車販売台数が2018年も同じだと仮定しても、同社はポイントを稼ぐためには6万4台もの電気自動車を販売する必要がある。2016年の現在、同社は電気自動車を中国で何台販売しているか、ご存知だろうか。これがゼロなのだ。VWはようやく電気自動車プラグイン ハイブリッドの販売を始めたばかりだ。しかし電気自動車は航続距離が160km、あるいは190kmまでしかなく、日本車に比べて大きく遅れている。

VW限らずドイツ車はデーゼルエンジンに力を入れていたため、ドイツの車メーカーが製造している大衆向けの電気自動車はBMWのi-3スマートの特別仕様車くらいしかない。もっともi-3は一番安いモデルでも3万5千ユーロ、日本で販売されるモデルなら500万円にも達するので、日本人だって二の足を踏む。平均的な中国人が買える値段ではない。中国政府の法案がこのまま法律になるなら、2018年以降、ドイツ車は大きくダメージを受けることになる。中国で電気自動車の販売台数がもっとも多いのは日産で、次に中国のBYDが続き、そのあとはかなり差が開いてテスラが続く。すでに電気自動車を持っている日本車メーカーには、まさに千載一遇のチャンスの到来だ。このチャンスをみすみす逃してしまうようなら、日本車メーカーは二度とドイツ車に追いつく事はできない。

当然、ドイツの車メーカーは、「こんな無茶な!」とこの政策に抵抗した。ドイツ最大の産業である車産業は通産大臣に陳情、大臣は中国を訪問した際にこの法案の改定を求めた。しかし中国の通産大臣は、「まだ法案であって、このまま法律になるわけではない。」とうまく逃げた。中国政府とドイツ政府の仲が悪化している今、ドイツの通産大臣の要請に効果があるとは思えない。もし中国政府が法案を改定するなら、ドイツ政府への陳情ではなく、中国の自動車メーカーの事情によるものだろう。

ドイツ政府は今年、重い腰を上げて電気自動車を普及させるために助成金を導入した。「なんで車産業ばかり特別扱いするのだ。」と苦情が上がったが、そうでもしないと誰も電気自動車を買わない。そこでこの助成金になったわけだが、この助成金は購買意欲の改善に一向に貢献していない。中国政府の電気自動車法案が施行されれば、多少は改定されても、世界最大の自動車市場の与えるインパクトは大きい。これにより電気自動車の値段が安くなり、技術革新が進み、先進国での電気自動車の普及率が上昇することが期待できる。中国政府はドイツ政府がお金をかけてもできなかったことを、お金を一切かけないで成功させることになるのだろうか。この法案は日本の自動車メーカーのカムバックなるだろうか?


あなたの好みはどちら?
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編集後記
ドイツ政府+中国の自動車メーカーの抗議で、この画期的な電気自動車導入の勅命は、改正されることになった。また詳細は発表されていないが、予定されていた政策の導入開始を2018年から、2019年以降にずらし、電気自動車の割合も緩和される見込みだ。
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