シリア難民? (08.05.2017)

2016年8月、シュトットガルトでスリにお財布を摺られた中国人観光客(ドイツの駅、空港はスリの仕事場。)、届けを出そうと警察に行ったが、英語もドイツ語もできず、伝えたいことを伝えられなかった。それで済めばまだ良かったのに、警察官はこの中国人を勝手に難民と判断して、難民の収容施設に連れて行った。ここで読めないドイツ語で書かれた書類に「サインしろ。」と言われ、サインをするとドルトムントに移送され、ここにある難民キャンプに収容された。シリア人に囲まれた生活を余儀なくされた中国人は、「難民じゃない。」と言い続けたが、誰も彼の言葉を理解できる者はいなかった。携帯のアップを利用して中国語をドイツ語に翻訳したが、支離滅裂なドイツ語であったため、ドイツ人には理解できなかった。

難民キャンプで働くドイツ人は、それでも何かおかしいと思ったらしい。2週間後(2週間もかかるのだから凄い)、近くにある中国レストランからマンダリンを話す中国人が通訳として連れてこられた。この中国人に、「財布の盗難を届けにいったら、ここに連れてこられた。」と陳情して、頭の回転の遅いドイツの官僚にもこの中国人は難民でないことがやっと理解できた。彼が提示した中国のパスポートを見ればおかしいとわかるものだろうが、そこはドイツの官僚。考えるのが仕事ではなく、手引書にしたがって処理をするのが仕事なので、機嫌の悪いロボットのように行動する。哀れな中国人、財布を盗まれた上、外出も許されない難民収容所に2週間も軟禁される羽目になった

2017年1月、ウイーンの空港の男性用トイレのお掃除をしていた女性は、容器の裏に隠されている拳銃を発見、空港警察に通報した。警察が拳銃を調べると、7.65mmの古い拳銃であるが、実弾が装填されていた。警察は「持ち主」が拳銃を取りに来ると判断、トイレに監視カメラを備え付けると持ち主が現れるのを待っていた。2月初頭、容器に隠している拳銃を取り出そうとしたドイツ人、拳銃を手にする前に警察に逮捕された。ドイツ人は言い訳がうまい。このドイツ人も例外ではなく、「拳銃は拾ったもの。」と言い張った。空港の安全チェック、あるいはその後で拳銃が見つかると刑法違反になるが、安全チェックの前なので武器の所持を定めた法律には違反しているが、逮捕する理由にはならず、身元だけチェックされるとこのドイツ人は釈放され、ドイツに帰っていった。勿論、拳銃は警察が没収した。

オーストリアの警察から事件の通告を受けたドイツの検察が動き始めたが、このドイツ人はドイツ軍の将校だった。そこでまずは軍の警察、正確には軍の諜報機関、"das Militärischen Abschirmdienstes"(通称MAD)が最初に尋問をする権利がある。しかしドイツ人は嘘がウマイ。この将校はプロの尋問官も質問も巧みにかわした。MADは、「問題なし。さらなる調査は必要なし。」と判断して、この一件は一件落着になる筈だった。そうならなかったのは、ドイツの検察庁(BKA)のお陰だ。検察は軍と違って空港で実弾の入っていた拳銃を所持していたことを「危険大」と判断、その裏に何があったのか、このドイツ軍将校の周辺を探り始めた。その調査結果があまりにも「由々しき事態」だったため、バイエルン州の駐屯地で格闘戦の特別訓練を受けてるこの将校を逮捕した。そしてこの一件の調査は、容疑者の住むフランクフルトの検察ではなく、カールスルーエにあるテロ専門の検察に移った。

これまで公開された情報によると、この将校は2016年、バイエルン州で難民申請を出した。アレポで果物商だったという御伽噺を、ドイツの官僚は不思議に思わなかった。シリアで果物商を商っていた商人が、アラブを一切話さずドイツ語とフランス語しかできないこと、どうみてもシア人ではなくドイツ人であることは、目をつぶった。官僚は考えることで雇われているわけでない。そして外人局はこの話を信用して難民申請を認可、ドイツ人将校はシリア難民として毎月、生活保護金が支払われることになった。ドイツ軍将校はこの難民ステータスを利用して、難民を受け入れた政治家を対ターゲットにしたテロを行い、これを難民の責任にすることが狙いだった。容疑者の自宅を捜査した警察は、テロの目標に数人の政治家があがっていたと発表した。

この一抹を聞かされた国防大臣と内務大臣は大いに怒った。国防大臣は、「ドイツ軍の将校全体がなっとらん!」と十把ひとからげにしてドイツ軍の上層部を非難、数日後、「そういう意味ではなかった。」と弁解する羽目になったほど、憤慨していた。というのもこのテロ未遂が発覚する前、ドイツ軍内部で新兵に対するいじめが多数発覚していた。しかし軍の上層部はこれに一向に処置をとらず、誰も処罰していなかった。国防大臣はメデイアからこれを知らされて、担当の将軍を首にしたばかりだったのだ。そして内務大臣は、問題の将校の難民申請を許可した役人と、この役人を補佐する役目で雇われていた通訳を即刻、首にした。このアラビア語の通訳、一体、何を通訳したのだろう。自称、シリア人がアラビア語が理解できないのもわからなかったのだろうか。謎は深まるばかりだ。そのような事態を察知すべき軍の諜報機関は全く役に立たず、テロが防げたのはウイーン空港で便所掃除をしていた女性のお陰だ。彼女が掃除を手抜きして拳銃を発見しなかったら、この将校は計画を実行に移していたかもしれない。ドイツ政府は「金の時計」をこの女性に送るべきだ。

もっともこの事件は、利点もある。滞在ビザの延長でトラブルになる方も多いが、そんな場合は外人局で難民の申請を上げればいい。この事件でわかるように、役人は「難民じゃない。」とわかっていても、その場で申請を拒絶する権利がない。申請を上げると、数ヶ月~半年後に難民局でアポイントを指定されるので、ここで身の上話をする。アレポで果物商をしていたと言えばいい。アラビア語が話せない?そんな心配は要らない。アラビアが語が離せない中国人やドイツ人だって難民で通ったのだから、日本人だって難民で通る。あとは生活保護をもらって、留学資金の足しにすればいい。こんなことができるのも、世界広しと言えドイツくらいだろう。


軍は右翼の宝庫?
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