ドイツの学校教育事情 (05.07.2007)

ドイツに留学して往々にして戸惑うのが、日本とドイツの教育システムの違いだ。ドイツは中学校、高校がないので、勿論、中学生、高校生という言葉は存在しない。代わりに(例えば)「11番目のクラス」という日本人には理解できない表現を使うので、戸惑ってしまう。 そこで今回は、ドイツの教育システムについて少し紹介しておこう。

ドイツで最初に通う学校は、日本と同じく小学校(Grundschule)だ。(任意で通う幼稚園を除き。)州により若干の違いはあるが、この小学校には6歳になってから通うことになる。日本と異なり、 この小学校は4年(4番目のクラス)で終了する。その後は、Hauptschule, Realschule, Gynmasiumと呼ばれる学校のいずれかに通うことになる。

Gynmasiumは将来大学入学を目指すエリートコースで、卒業するまでに9年もかかり、もっともお金がかかる。この卒業試験があのアインシュタインが落っこちた 事で有名なAbiturと呼ばれる卒業試験だ。Realschuleは将来の職業分野での専門家の育成を目指す学校で、日本の商業学校に似ており6年で卒業できる。成績が優秀であれば大学に通うことも可能で、ドイツではこの学校に通う生徒の数が最も多い。Hauptschuleは、Realschuleと似ており、将来の職業に備えて、これに必要な専門知識を身に付けることが目標だ。卒業までにはやはり6年かかる。

日本の教育システムはあまりにも点数主義で独創性、創造性を殺す授業を行っているというマイナス面はあるものの、ドイツの教育システムよりは優れている。少々お金はかかっても、我が子をいい学校に送りたいという親心は ドイツでも同じだ。しかしGynmasiumに通うには、成績が良く 、学校の先生の推薦がないと入れないから、人一人の将来が、10歳にもならない子供の頃の点数で決めてしまう。日本ならば、少なくても、大学に行きたければ、能力次第で誰でも行けるだろうから、まだマシだ。

しかし もっとひどいのはHauptschuleに通う生徒の運命だ。Hauptschuleに通っているというだけで、落ちこぼれの烙印を押されてしまう。ひどいケースではGynmasiumに通う子供の両親が、Hauptschuleに通う子供の家を訪れて、「もう我が子と遊ぶのは辞めて欲しい。」などど申し入れてくるケースもあり、日本ばかりでなく、ドイツでも学校による差別は存在している。又、Hauptschuleを卒業した生徒は、Realschuleを卒業した生徒に比べ、職に就くチャンスが決定的に低い。こうした環境も手伝って、Hauptschuleに通う生徒の学習意欲は低い。学校に通わない生徒もびっくりするくらい多い。学校では暴力事件が絶えず、生徒は授業中に勝手に歩き回ったり、授業中に生徒同士で喧嘩をはじめたりと、とても授業を行える環境ではない。当然の結果として、多くの生徒は卒業試験をパスすることなく、学校を卒業する。ただでさえ、就職のチャンスが低いのに、卒業試験をパスしていないと、就職の可能性はほとんどゼロに近い。特にひどい学校の内情で有名なベルリンのHauptschuleでは、職に就ける卒業生は全体のわずか10%程度である。

こうした現況を見て、「何の役にも立たないHauptschuleを無くしてしまえ!」と言う意見がよく聞かるようになった。ドイツには、上述の3つの学校をひとつにまとめたGesamtschuleがある。この学校は上述の教育システムの欠点を補う為に導入された学校で、この学校に通う生徒は誰でもテストに合格すれば大学に通うことが可能で、すべての生徒に平等のチャンスを与えている。将来的には、Hauptschuleは 廃止されて、Gesamtschuleに移行していくだろう。

そうそう、肝心の「11番目のクラス」だが、小学校を卒業した生徒は、どの学校に通う場合でも、4番目のクラスまで終了したことになる。だから、次の学校に入学すると、中学生ではなく、5番目のクラスという呼び方をする。RealschuleとHauptschuleでは5番目~10番目のクラスが存在することになり、Gynmasiumの場合だと5番目~13番目のクラスという事になる。

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ドイツの生徒の能力は国際比較ではかなりランクが低い。韓国が世界第3位、日本が6位、ドイツは19位に留まっている。



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