Es wird Teuer (29.07.2007)

日本の官庁も手ごわい(融通が利かない)が、ドイツの官庁はさらにその上を行く。例えば、家を建てる際に建築プランを提出して建築許可を取り、実際にでき上がった建物が10cm予定より高くなったとする。すると役所から「建造物は、申請されたものとは異なっているので、建築許可は無効である。つまりこの建物は無許可建築であるから、〇月〇日までに取り壊しされたし。これに従わない場合は、市が強制取り壊しを行い、その費用は無許可建築を行った者に課す。」と冗談のような手紙が来るが、これが大真面目。ドイツ語で「石頭」をBetonkopf(コンクリート頭)というが、これ以外にドイツの官庁を的確に表現する言葉が見つからない。

そんなにひどいケースでなくても官庁の「石頭振り」は、ドイツでの生活上、あらゆる際に体験することができる。例えば年末調整。ドイツの税率は12ヶ月働いたことを前提に税率が決まっているから、ドイツで(例えば)7月から就職した場合、(就労期間が半年未満なので)税金は全額免除される。だから年末調整をすると数千ユーロ返って来る。逆に1年きっかり働いて年末調整をすると、追徴金が課せられることがあるので、税金が帰ってくる見込みがなければ、年末調整はしない方がいい。個人的には以前、年末調整をした際に追徴金10セントの手紙を税務署からもらった事がある。この手紙を送るのに55セントの金(つまり税金)がかかったことを考えると、この税務署の対応は理解しかねる。そこで、しばらく無視しておいたら、今度は10セントの支払い催促状が送られて来た。つまり10セントを回収するために、税務署は その11倍、1ユーロ10セントも投資した事になる。こうした意味の無い仕事振りが、ドイツ中でなされているのが、ドイツの税務署の現状だ。

しかし、この程度の税務署(ドイツの官庁)の仕事振りは、まだ「マシな方」。ミュンヘンでサンドイッチを販売する露店を営む女性が年末調整をした所、税務署から2億ユーロ(3200億円)の追徴金の知らせが届いた。ちなみに2億ユーロもの税金を払うには、毎日数百万個のサンドイッチを売る必要がある。この数はドイツ全土で売られているサンドイッチの数に匹敵するから、そんなことは絶対にあり得ない。しかし、税務署は大真面目で、「〇月〇日までに2億ユーロ払うべし。」と書いてある。困ったこの女性は、まずは税務署に電話してこの追徴金に対して抗議したところ、「訂正した手紙を送ります。」と言われたので、まずは一安心。ところが、(ドイツに住んでいる方はすでに体験された通り)、待てども待てども税務署から一向に手紙が届かないのである。このままでは支払いの期日が来てしまう。支払いの期日までに、訂正した手紙が来ない場合「抗議」は却下されたことになり、2億ユーロの追徴金が確定しまう。(ドイツの法律では、間違った/不正な要求でも、抗議をしない限り有効な請求となる。)困り果てたこの女性は弁護士に相談、弁護士は2億ユーロの追徴金が「合法」になる前に税務署を相手に「不当請求」で裁判所に訴えを届けた。

裁判結果(審判があったのかどうか、、。)は言うまでも無く、原告側の勝利。税務署は新しい(正しい)追徴金102ユーロを請求して 、この件は一件落着したかに見えた。が、流石、ドイツ。この一件には「落ち」があった。 弁護士費用である。ドイツでは(日本もそうでかもしれないが)、負けた方が裁判費用と弁護士費用を負担する。その弁護士費用は、訴訟で問題になった額面で計算されるのだ!この件では税務署の請求額が高かっただけに弁護士にはなんと250万ユーロ(3億円)の弁護士費用を請求する権利があるのである。勿論、弁護士も商売だから、「いいよ、いいよ、1億で。」なんて言う筈もなく、税務署にちゃっかり250万ユーロの弁護士費用を要求してきた。流石、ドイツ。困った税務署は裁判所に助け(仲介)を求め、裁判長がこの一件を仲裁、結局、弁護士の報酬は1万5千ユーロ(240万)という比較的小額で収まった。その後、弁護士は記者会見を開いて、「税務署の不当な要求から善良な市民を救うのが、弁護士の当然の任務と考える。」と立派な声明を出して、メデイアの大注目を浴びていた。

この弁護士事務所はこの一件で有名になったから、今後、税務署からみの仕事が殺到するだろう事は想像に難くない。税務署も今後、この弁護士からの手紙が届くと、きっとまじめに仕事をする事だろう。


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注目を浴びて、すっかりスター弁護士
 

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