寄付、お願いします。  (21.02.2008)

下の写真を見て、「この顔、どこかで見たことがある。」と思われる方は、このページの熱心な訪問者に違いない。そう、3年前にSchleswig-Holstein州の選挙で勝ちながら、身内の寝返りで政権を失い、政治から引退したSiomonis女史だ。政治引退後は、ユニセフの(名目上の)ドイツの代表となり、ドイツ ユニセフの管理運営を任されていた。ところが、ずさんな寄付金の管理(正確に言えば、管理の欠如)を新聞にすっぱ抜かれ、非難にさらされている。

問題となったは元職員に対する30万ユーロ(法貨でほぼ5億円)もの報酬の支払い。ユニセフの会計には、この職員が何の仕事をしたのか具体的な事は書かれていなく、Honorar(報酬)と書かれているだけ。5億円もの報酬が出て、必要経費のかかっていない仕事ってどんな仕事なんだろう。どうみても、寄付金の横領しか考え付かない。これだけの寄付金をひそかに横流しできるのは、トップが目をつぶっていたか、これを自ら指示したとしか考えられない。これだけでも大きなスキャンダルだが、ユニセフはケルン支店の改装で、総額100万ユーロもの資金を寄付金から流用していた。このまるで一流クラブのような豪華な改装費用に関して問われると、ユニセフのドイツ支店の責任者は「Siomonis女史から許可をもらった。」と上司の責任にする。これを聞いた、Siomonis女史は「そんな事は聞いた事もない。」と声明を出し、ユニセフの管理を高いお給料を(寄付金から)もらって任せられているのに、全く管理できていないことを明らかにした。(彼女の政治生命の命取りになったのも同じ理由、つまり部下の管理能力の欠如に事による。)

Siomonis女史は、その後、身の潔白を主張するも、これ以上の泥沼化を恐れて唯一正しい決断を下し、ユニセフ代表の地位から辞任した。これで一安心とユニセフは思っていたことだろう。ところが一番のショックはこの事件が忘れられかけた2月20日のその頂点を迎えた。

ここでも以前取り上げたことがあるが、ドイツでは(キリスト教の影響のせいか)寄付をすることがかなり一般的。有名人は(匿名ではなく実名/芸名で)よく寄付をする。なぜなら、寄付金は必要経費をみなされて、税金免除の対象になる為。又、寄付をすると世間で人気(名声)が上がるので、一石二鳥でもある。当然、その寄付金を狙って怪しげな団体が数多い。寄付金の80~90%を経費として己の目的に流用して、残りの10%で使用有効期限のすぎた避妊用ピルを大量に仕入れて、アフリカに送り、証拠写真を撮ると、「あなたの寄付金でこの子供達の命が救われます。」というフレーズを証拠写真と一緒に印刷して、寄付を募集している団体が多い。ドイツ政府はこうしたいかさま寄付業者と、まともな慈善団体を区別する為にSpendesiegelというものを出している。これはウインドウズのインストールの際に必要になる「本物証明書」みたいなもので、このSiegel(印)がついている団体は、ドイツ政府のお墨付きとなる。ユニセフはこれまで国連の機関だったこともあり、この「お上のお墨付き。」は保障されたようなものだった。だが、今回のスキャンダルはあまりにもひどかった。寄付金を大量に流用して、過去3年間も誰にこれに気づいていなかったのである。(気づいても、黙って利益を享受していた。)新聞ですっぱ抜かれなかったら、そのままの状態だったろう。この現状に鑑みて、ドイツ政府はこのユニセフに対するSiegelを即日有効(mit sofortiger Wirkung)で無効宣言した。

この知らせを聞いたユニセフの(新しい)責任者が、「今回の政府の処置は、世界の子供達に苦しみを与えるだけ。どうか、この処置に惑わされないで寄付して欲しい。」と政府の処置を非難する声明を出していたが、これまでのずさんな寄付金の管理体制に関して詫びる声明は一切聞かれなかった。


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またしても身内の裏切りに遭う。

 

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