Meisterstueck  (06.03.2008)

ドイツには台風は来ないが、その代わりに秋から冬にかけてOrkanという嵐が来る。この嵐が引き起こす災害については、このコラムでも以前紹介しておいたので、興味のある方はこちらをご覧ください。さて、この嵐がまた3月始めの週末に欧州を襲った。ドイツでも倒れてきた大木の下敷きになるなどして、週末に6名もの死人を出した。ところが、この数字はあやうく3桁になる所だった。

3月1日に強風でスタートの送れたルフトハンザ機は、13時40分になってやっとハンブルク上空に達し、着陸態勢に入った。ところがタッチダウン直後に猛烈な横風が吹いて、大きな飛行機が枯葉のように横に流されてしまった。左翼が滑走路に接触し、「あ、クラッシュする。」と思った瞬間、パイロットが全速力で加速、飛行機は今度は右側に揺れ滑走路に激突するかに思えたが、パイロットの優れた操縦技でバランスを回復、再び高度を上げていった。(その後の調査で、この飛行機の操舵をしていたのは、女性の副操縦士で、バランスを崩した瞬間に機長が介入、操舵を行った事が判明。)

その後、ハンブルク空港の(比較的横風の影響の少ない)第二滑走路に無事着陸。乗客は「生きた心地がしなかった。」とか、「今日から第二の人生を始まる。」と陽気なコメントを出す余裕もあったようだが、ショックは隠せない様子だった。この「危うく墜落事故」後、この一件を調査する為にAufsichtsbehoerdeが調査を開始した。調査の焦点は、「何故、最初から横風の影響の少ない第二滑走路を使用しないで、強風の影響をもろに受けている第一滑走路を着陸に使用したのか。」という点。それは今後の調査が明らかにしてくれるだろうが、この「危うく墜落事故」を見た関係者の意見は、「パイロットの見事な操舵技(Meisterstueck)。」という点で一致していた。

別の場所でも取り上げて置いたが、航空チケットの購入は値段だけではく、安全性も考慮してから購入しよう。優秀なパイロットを抱えて、手抜きのない厳密な整備を行うと、チケット代は多少他の航空会社よりも高くなるのは仕方ない。ルフトハンザは創業以来、死亡事故を出していない優秀な会社だ。安い航空会社は、安全性よりも経済性を重視するので、悪天候でも無理に(盲目で)着陸しようとする。そのいい例が2007年の9月にタイで起きた航空機の激突事故。悪天候下にもかかわらず、スケジュールを守る為に無理やり着陸しようとした飛行機は滑走路に激突、91人もの死者を出している。


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Orkanが来ると、大木がマッチ棒のように倒されます。

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