アルバイト (29.05.2008)

少々昔の話になるが30年代にスペインで内戦が起こった際、ドイツはフランコを支持して軍事援助を行った。この軍事援助は、イギリスやソビエトが共産勢力に行ったと同じように、物資の援助に限られていた。ドイツから送られたのはドイツの優秀な小銃、機関銃、それにドイツ製の飛行機だったが、銃はともかく、飛行機を操縦する肝心のパイロットがいなければ折角の飛行機も役に立たないので、ドイツ政府としてはパイロットも派遣したい。しかし、ドイツ空軍のパイロットがドイツの飛行機に乗って堂々とスペインの内戦で戦ってしまうと、他の国も黙ってはいない。そこで、極秘にドイツ人パイロットを送り込む事にした。

当時、ドイツ空軍内部では、何の前触れも無く同僚が数ヶ月姿が見えなくなり、しばらくして帰ってくると、見事に日焼けをしていて、金めぐりが非常によくなっている「不思議な現象」が頻繁に起こった。帰ってきた同僚に「一体、どこで何をしていたんだ。」と聞くものの、当の本人はにやにや笑って何も答えなかった。その後、スペインの内乱がフランコ軍の勝利に終わってから、正式にベルリンでスペインの内戦で戦ったパイロット達の歓迎式典が行われることになり、これにより内戦を勝利に導いたドイツ人パイロットの活躍が公になった。

2006年になってドイツ軍やドイツの警察の特殊部隊で、また不思議な現象が起きるようになった。同僚の姿が数週間見えなくなるのである。しばらくして帰って来ると、見事に日焼けしており、やたらと金めぐりがいい。「一体、どこで何をしていたんだ。」という同僚の問い合わせには、にやにや笑って「休暇だよ。」と答えるのだが、妻子を放ったらかして数週間も休暇に行くのだから、やはり何かおかしい。突っ込んで聞いてみると、「実は、、。」という話になった。その後、今度はこの同僚の姿が数週間見えなくなる。帰ってくると、見事に日焼けして、羽振りがすごくよろしい。興味をもった同僚が、「一体、どこで何をしていたんだ。」と同僚が問うと、にやにや笑って「休暇だよ。」と答えるのだが、妻子を放ったらかして数週間も休暇に行くのだから、やはり何かおかしい。突っ込んで聞いてみると、「実は、、。」という話になった。(何度かそのまま繰り返してください。)

この状態が1年以上も続くと、特殊部隊のメンバーの多くが年中日焼けをしており、安い給料で高級車を乗り回すようになった。これは何かおかしい。内務省はデユッセルドルフの警察本部に調査を依頼した。警察が特殊部隊の隊員の海外渡航歴を調査してみると、皆はリビアに渡航している事実が明らかになった。この隊員に渡航目的について尋問した結果、現地の特殊部隊に教育を施し、その報酬として最高、15000ユーロ/回(邦貨にして240万円)ものお金を受け取っていたことが発覚した。警察、軍ではこのアルバイトを行った職員に対して、減給などの処置を取ったらしいが、アルバイトでお金をたんまりと儲けた後だけに、あまり効果的な罰則ではなかった。

おそらくこの「懲罰」の裏には、公式にできない事情があるに違いない。まずどうやってこの仕事のコンタクトが行われたのか、大いに興味のあるところだ。まさか特殊部隊の隊員がリビアに渡航、カダフィ大佐に面会して、アルバイトを申し出た、、ということはあるまい。リビア政府が報酬を支払っている事実から考えれば、このようなコンタクトはリビア政府からまずは現地のドイツ領事館にコンタクトがあったはずだ。そして領事館に勤務しているBND(ドイツの諜報機関)の職員が、これを極秘に仲介、その後、アルバイトが成立したと考えられる。又、この話には、ドイツ製の小火器を第三国に輸出したい武器商人も一枚からんでいるだろう。ドイツの警察が教育を施せば、ドイツ製の小火器が採用されて、武器を大量にさばくことができる。そんなおいしい話を持ってきたBNDの職員にはたんまりと報酬が支払われた事だろう。早い話、今のドイツ政府も昔のドイツ政府も、全体主義だろうが、民主主義だろうが、やる事は変っていない。


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Heckler & Koch社の最新鋭モデルMP7を装備しているドイツの警察の特殊部隊。近い将来、リビアの警察も同じ武器を採用することだろう。

 


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