学費無料?  (04.06.2008)

2007年からドイツの大学では、空っぽの国庫の負担を軽減するために、500ユーロ程度/ゼミのStudiengebuehren(学費)が導入された。これに反対する学生の動きもないわけではなかったが、他の国と比較した場合、ドイツではそれでもとんでもなく安く勉強できるので、それほど反対運動は盛り上がりを見せず、ほぼ自然消滅した。そしていざ、学費制度が導入されてみると、当初は予想していなかった多くの問題が持ち上がった。

Studiengebuehrenと言うからには、当然、授業の質を上げるために大学の大学の施設、図書館や研究施設の充実にあてるのかと思いきや、大学はこの金を「棚から牡丹餅」とばかりに大学の暖房費とか大学内の道路、駐車場の整備、その他もろもろの学業とは関係のない分野に支出した。しかし、暖房日などは国からちゃんと管理費として支給されおり、学費をこうした管理費に使うのは違法であり、学費導入の際の約束、「学業の向上の為に。」に違反するものであった。これが公になると、これまでは学費導入に了解していた学生の間でも、不満の声が大きくなってきた。大学の講義の質の向上の為に学費を払っているのだから、ちゃんとこれを実行すべきだというもっともな要求である。とは言っても、大学のように規模の大きな官僚組織は、法律で首に出来ない余剰人員(公務員)を抱え、国から金が支給される為に効率的な運営などには縁が無く、慢性的な金欠に陥っているので、こうした学生からの非難を無視して、大学のだらしない資金めぐりに学費を当てていた。

こうした大学側の姿勢に対して、最初は学費の導入にそれほど反対していなかった学生も反対運動をするようになった。特にヘッセン州では状況は学生に味方をしていた。連邦制であるドイツでは、州が独自の法律を作る事ができるが、その州の法律に、「学費は経済力のある学生に対してのみ要求する事ができる。」と書いているからだ。これを盾に医学を専攻していた(頭のいい)学生が、州を法律違反の廉でギーセンの裁判所に訴え、勝訴してしまったのだ。裁判長の判断では、「豊かな両親を持っているか、いないかに関わらず、すべての学生に学費を要求するのは法律に違反する。」というものであった。これを期にヘッセン州では、(与党が大敗を喫した後だけに)、野党が結集して学費の廃止案を州議会に提出、これが6月3日に過半数で可決されてしまったのである。

この決定が他の州に及ぼす効果はまだ不明だが、今後、ヘッセン州の大学(Frankfurt, Giessen, Goetteingen,Kassel,Marburgなど)では(2009年から)学費が無料になり、これまで違法に学費を払わされた学生には学費返還の権利が生まれてしまった事になる。今後、ドイツ大学留学をお考えの方には、この決定によりヘッセン州の大学が魅力的になるのではあるまいか。1年で1000ユーロの違いは、(ユーロが高いだけに)見逃せない利点だ。

と、思っていたら、州知事のKoch氏がこの法令にサインする事を拒否した。州議会を通った法案文書に決定的なミスがあり、「学費制度を廃止する。」の一文が欠けていたのだ。Koch氏はこの議題が上がった時点からこのミス知っていたようで、議会で法案が通った後も、投票の数え直しを要求しないで、おとなしく座って(心中ではニヤニヤ笑って)いた。そして6月5日に野党が「敵の首を取ったぞ!」と言わんばかりに、この法令へのサインを求めた際、「この法令には決定的なミスがあるので、署名できない。」とサインを拒否したのである。今後、野党がこのミスを修正して再度、州議会に提出するか不明。今回のミスで野党はBlamageを全国に示したあとだけに、再度のミスはヘッセン州の政治基盤を危うくするからだ。このニュースを聞いて、大喜びしていた学生は、ショックを隠しきれない様子。

紆余曲折した学費だが、6月17日に野党が修正した学費廃止の法案をヘッセン州議会に提出、これは過半数で可決された。この法案が実際に施行されると今後、2008/9年のWSに最後の学費が徴収され、以後は、ヘッセン州では学費は無料ということになる。しかし州知事のKoch氏は、早期の再選挙(での勝利)をたくらんでおり、その結果次第では、この学費廃止法案が施行される前に、廃止される危険もある。

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学費導入反対!

 
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