危うく大惨事  (13.07.2008)

ここでも何度か紹介している通り、ドイツ製の電車(車両)は故障が多い。上海空港で世界初の導入となったリニア モーターカー(ドイツではトランス ラピッドと言う。)は、故障に継ぐ故障で、最後には走行中に火災を起こす始末。(時速400KMで走る車両が静止するまで1KMほど必要なので、火災になった場合、乗員乗客は袋の鼠となり逃げ場がない。)あまりの故障の多さに驚いた中国政府は、北京と上海の接続に予定していたトランス ラピッド案を反故にしたほど。大きな魚(契約)が逃げていくと察知したSiemensは、「それならICEを買ってちょうだい。」と必死の交渉を行ったが、ドイツ製の電車の信頼性に疑問を持った中国政府は、おフランス製のTGV導入に決定。(言うまでも無く日本の新幹線は相手にされなかった。)しかし、この中国政府の決定、「ドイツ製の車両を導入しないこと。」は間違いではなかった。

7月11日にケルンの中央駅に入ろうとしたICE車両が脱線した。幸い、駅に入る前でスピードが極端に遅かった為、怪我人などは出なったが、乗客は電車を降りて、荷物を抱えて路線上を駅まで歩いて移動する羽目になった。この脱線事故は当初、ドイツ鉄道の数多い事故のひとつと思われたが、ドイツ鉄度がその日からドイツで運行しているすべてのICEの運行をストップしたので、「ただの脱線事故」ではないことが明らかになった。

検察の取調べによると、電車がケルンに近づいて速度を落としたら、(騒音が減ったので)乗客が異常な「騒音」を耳にした。乗客がこれを乗務員に報告すると、明らかに通常の騒音でないと確信した乗務員が、電車の急停車レバーを引いた。すると電車の車軸が折れ、電車が脱線するに至ったらしい。(正確にはまず車軸が折れて騒音が発生、急ブレーキが引かれて、脱線というのが正しい順序らしい。)この事態が明らかになるとドイツ鉄道は、すべてのICEの運行を停止、すべての車両を検査することにしたので、3日間、ICEの接続が大いに乱れることとなった。ちなみにこの電車は車軸が折れて脱線する前に、フランクフルト-ケルンの高速区間を時速300Kmで走行しており、この区間で車軸が折れていたらEschedeの惨劇の繰り返しになる所だった。

Eschedeの事件ではICEの車輪が走行中に大破したのが事故の原因だったが、この事故はふせぐ事ができた。この事故がおきる前に同様の構造の車輪を採用していた路面電車の車輪の磨り減りが以上に高く、頻繁に車輪を変更する羽目になり、整備費が高騰、車両を製造しているジーメンスに苦情が何件もあがっていた。ジーメンスはこの苦情を「車両の使い過ぎ。」のせいにして、製品のチェックをしなかった。この為、ICEを運営しているドイツ鉄道はこの「危険性」について、何も知らされず、この事故に至ったのである。今回の脱線事故は、(現時点では)ドイツ鉄道の整備員が手抜き検査をしていたのが原因だろうが、走行中に車軸が折れるなどあってはならない事で、ドイツ製の車両の評価を高めることにはならないだろう。

中国政府はおそらくトランス ラピッド導入で、このMade in Germanyの信頼性について、大いに疑問を持って、ICEの導入を見送ったのだろうが、正しい決定だった。又、アルゼンチン政府もブエノスアイレスからコルドバへの幹線にTGVを導入することを決定しており、TGVは世界で一番売れている高速電車だ。しかし、日本の新幹線も性能的にはTGVと互角。台湾だけでなく(遠慮しないで)、是非、世界中に優秀な日本の技術を輸出して欲しい。



077.jpg
ケルン中央駅前で脱線したICE。

078.jpg



スポンサーサイト

COMMENT 0