Auslandeinsatz (27.11.2006)

Auslandeinsatz (27.11.2006)

あるドイツの政治家が、「平和維持を目的とした軍隊は、せいぜい戦争ごっこをするのが関の山で、実戦では使いものにならない。」と言ったが、近年のPKF(Peace Keeping Force)の活躍を見ると、その通りだと言わざるを得ない。これを証明する極端な例として1995年7月に旧ユーゴの町、Srebrenicaで起きた事件が上げられる。

当時、セルビア軍の攻勢からイスラム教徒を守るべくSrebrenicaの町に、オランダ軍を主力とするPKFが派遣されていた。ところがセルビア軍は、PKFなどお構いなくこの町に侵攻、何もできないでいるオランダ兵を横目に8000人にものぼる男性住人(子供も含む)を一人残らず連れ去り、処刑してしまった。結局、米軍が介入して戦争は終結したが、この一件は国連軍(PKF)の無力を証明するいい例でもあった。戦争終結後、ドイツ軍もPKFとしてユーゴに派遣され、今日まで(政治家の意見によれば)「平和の維持」に大いに貢献しているそうだ。

ドイツ政府は、PKOにしか兵隊を派遣しない日本政府と違って、PKFとして兵隊を派遣するのに熱心で、コンゴやアフガニスタン、レバノンなど、つい最近まで紛争のあった国にはほとんど軍隊を派遣しており、その数は8700人にも及ぶ。それだけたくさん兵隊を派遣すれば、死人も出れば、スキャンダルも出て来るもの。今、ドイツの新聞を騒がせているのが、アフガニスタンに派遣されている兵隊の写真だ。白骨と化した遺体を使って、おどけたポーズを取って写真を撮っている。これが新聞に載るとドイツ国防相は記者会見を開いて、「わずか数名の心無い兵隊の行動で、勤勉なドイツ軍全体を同じ範疇で考えてはならない。」と、言い訳をした。おそらく、これがわずか数枚の写真で済んでいたら、この一件はこのコメントだけで忘れさられただろう。
 
最初にこの写真を掲載したのが、ドイツのスポニチと呼ばれるBild Zeitung。この写真のおかげで新聞が素晴らしくよく売れた。これを見た他の新聞社が、会社の沽券にかけてこの事件を調査。すると、出てくるわ、出てくるわ、数え切れない数のドイツ軍のスキャンダル写真が編集部に送られてきた。中にはアフガニスタンだけでなく、旧ユーゴでのドイツ軍が「活躍している。」写真も含まれている。最初のうちは、まだドイツ軍の面子を救おうとしていた国防相も、もう言葉がなくなった。最後には、「外国派遣(Auslandeinsatz)が多すぎるのが原因だ。ドイツ軍の海外派遣を見直すべきだ。」と主張。このコメントは首相の許可なくだされた為、この声明を聞いた首相は激怒した。ドイツ軍の派遣を決めたのは首相なのに、その首相の決定を非難してしまったからだ。一時は国防相の左遷も噂されたが、国防相は「外国派遣される兵隊の教育、選抜制度を見直す必要がある。」と、前言を訂正してとりあえず、首だけは繋がった。

「他人の振り見て、わが身を直せ。」の例えにもあるように、これに懲りて、わが自衛隊は現状のままでPKFには参加しない方が懸命だ。海外への派兵の機会が増えれば、それだけスキャンダルが発生する可能性が高くなるからだ。そうなれば、元々、国内での理解が低い自衛隊は、さらに身の狭い思いをすることになる。もっと悪いことには、日本人はパニックに陥りやすい傾向があるので、PKFで死者が出た場合、国内で自衛隊の撤兵を求める声が高まり、国内の圧力に負けて撤兵となった場合、国際社会から信用を失ってしまう。そのような事態を避けるため、国際社会への貢献はこれまで通り、PKOへの参加で果たす方が無難だろう。

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骸骨を二頭筋に見立ててポーズを取るドイツ兵

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最初にドイツ兵の活躍ぶりを報道したビルト新聞
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