ただより高いものはなし。 (19.10.2004)

一般にMade in Germanyと言えば、メルセデス(日本では何故かベンツと言う。)BMW,Porscheなどの車のイメージを抱く人が多いのではないだろうか。あまり知られていないのが、ドイツは世界で第5番目の武器の輸出国という事実。つまり、ドイツ政府は戦争、紛争が起こるたびに係争国を非難して、早く平和が戻ってくるように呼びかけるが、実はこれらの係争国(両方)に武器を輸出して(大儲けして)いる事実に関しては何も言わない。例えば、アメリカの主力戦車はドイツの戦車砲で装備されているし、イスラエル製のミサイルの内部にはドイツ製の部品が多く搭載されている。だから、ドイツにしてみれば、戦争、紛争が起こるたびにドイツの企業に大量の注文が殺到して笑いが止まらない。勿論、ドイツ政府は、「遺憾の意」を表明したりするが、決してドイツ製の武器の輸出を規制しようとはしない。あくまでも悪いのは、武器を使用する側であるという理論なのである。
さて、以前東ドイツが西ドイツに吸収された際に「問題」になったのが東ドイツ軍の装備。Nato軍で使用する武器ではないから補給が続かないし、互換性がない。そこで売却という事になったが、旧東ドイツ軍の戦車はトルコに無料であげよう!という事になった。日本語で「ただより高いものはなし。」という通り、ドイツでも無料というと、金を出して買うよりもっと高くつく。しかし、この時点では、このドイツ政府の気前のよい態度の裏に何が隠れているかわからなかった。
当時からトルコはクルド人虐待で国際的非難を浴びていたから、実際に戦車を輸送する際に公の非難を浴びたくない政府は、戦車という名前の変わりに「トラクター」という偽りの名前の下で輸出した。それでも悪いことをしているとばれるもので、新聞でこの極秘の武器輸出が報道されてしまう。「人殺しの助けをするのか。」という記者の質問に、ドイツ政府は、「トルコ政府はクルド人に対してドイツの戦車を使用しないと保証している。」と、誰もが信じない口実を上げて戦車を輸出してしまった。
この話を誰もが忘れかけた2004年10月になって公式にトルコ政府から「ドイツの戦車を数百台購入したい。」と申し出があった。公式には、トルコ政府はフランス、アメリカなどから戦車を公募したのだが、「選抜委員会」がドイツ製の戦車に決定したと発表をおこなった。この取引は10年前の戦車の無料貸与の際の裏協定で内定していた事は、想像に難くない。
ドイツ政府もなかなかの役者で、「トルコ政府の人権擁護の改善、努力には目覚しいものがあり、トルコ政府への戦車を売却を拒む理由は見当たらない。」と、政府見解を発表。この見解を出したのは、緑の党のフィッシャー外務大臣。この大臣、実は4年前に「ドイツの戦車をトルコに輸出するなら、連立政権解散だ!」と、連立政府を脅かして売却をストップさせた経歴がある。その張本人が4年後には政府を代表して、トルコへの武器輸出を正当化するのだから、人(政治家)は変わるものである。


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ソ連製装甲車BTR80でパトロール中のトルコ兵

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トルコ政府が喉から手が出るほど欲しいドイツ軍のレオパルト2号


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