過去から学べ! (02.12.2004)

このコラムを読んでいる人の中には、天安門事件を知らない人もいるかもしれないので、ざっと概略だけ述べておこう。80年代後半、ドイツでの壁の崩壊がきっかけとなり、東ブロックの共産党政権は次々に崩壊していった。この現象はヨーロッパだけに留まらず、中国にも飛び火して学生を中心とした民主化要求のデモがあちこちで起こった。権力の座が危ないと見て悟った中国の首脳部は、国民解放軍(日本軍と戦って国を解放したから、この名称で呼ばれている。)をデモ隊の鎮圧に派遣して、無差別発砲、400人ほどの死人をだした。これに憤慨した西欧諸国は経済制裁として、中国との輸出入を厳しく制限した。これによって当時の中国は国際的に孤立してしまった。この中国に、最初の救いの手をさしのべたのはドイツ政府であった。
当時の中国は、ちょうど経済開放地区を設けて、西欧からの投資を歓迎していたからこの制裁は、非常に痛かった。そこで当時のドイツのコール首相のは中国を1995年に訪問して、人権問題には一言もふれないで、不況にあえぐドイツ企業の輸出に貢献すべく中国側との仲介に回った。その後、中国経済は目覚しく発展を続けているのであるが、この天安門事件(1989年)により今でも輸出禁止となっているのが、武器の輸出。民主化を要求する自国の国民を平気で殺してしまう政府に武器を輸出すれば、この武器をチベット、モンゴル、ひいては台湾に使うかもしれないから、これは当然の処置だろう。しかし中国としては、経済の発展により十分な国家予算(軍事費)を蓄えており、自国の軍隊を近代化したいのだが、肝心の武器が手に入らない。アメリカ政府は事あるごとに中国の人権問題、海賊版コピーの問題で挑戦してくるから、アメリカの武器を買うのは気が進まない。かといってロシアとは仲が悪いから、この国の武器を買うのもしゃくにさわる。そこで理想的なのが、ドイツの武器なのである。ところが、ドイツはEUで取り決めた中国への武器輸出禁止に違反するわけにはいかない。しかし、中国に武器を輸出できれば、国内の景気は活性化するし、軍事企業からしこたま政治資金が流れてくる。
そこで、EU議会ではドイツの議員が中心となって、中国への武器輸出の禁止を解除すべく水面下での工作が始まった。具体的には、この議案が議会に提出された場合に賛成票を投じてくれるようにこっそりと各国に打診しているのである。これが新聞に漏れて問題になっている。面白いのは、1995年にコール首相が中国を訪問してドイツ企業の売り込みをした時、当時、野党であったFischer氏は、『受注のために、民主化の為に死んだ学生の屍を越えて行くのか!』と首相の政策を大いに批判。ところが時代は変わり、今やフィッシャー氏は外務大臣。記者団から、『当時は、武器の受注に大反対した本人が、今度は武器の輸出を推進するとはどういう心変わりですか。』と聞かれても、聞こえないふりをしている。ドイツ人は、「アメリカのように自国の軍を送って他国を爆撃するとあちこちで批判を浴びるが、武器を輸出して勝手に殺し合いをさせていると、批判される事がない。」という貴重な教訓を二度の敗戦から学んだようだ。実際にアフリカで出回っているG2という小銃は、ドイツ軍の小銃だ。G3モデルがドイツ軍にが導入されたので、要らなくなったG2をアフリカ諸国に売却。これにより罪もない人間が何万人も死んでいるが、この悪行が平和を叫ぶ活動家に非難されることはない。アフリカで日常茶飯事のように起きてる虐殺の張本人は、こうした虐殺を声高に非難している西欧諸国自身である。自分で放火しておいて、声高に放火犯を非難、あるいは自身が先頭になって消火にあたるこの厚顔地心振りには、マキャベリも脱帽する事だろう。



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元左翼ゲリラでタクシ-の運ちゃん,現外務大臣フィッシャー氏

フィッシャー議員の国会議長に対する有名な発言の瞬間
"Sie sind ein Arschloch!."

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