Arbeit macht frei (05.08.2005)

どの国でもタブー(言うと必ず問題になる)テーマがある。ドイツのタブーは言うまでも泣くユダヤ人殺害だ。ドイツ人は今でも「ドイツ人によるユダヤ人殺害」とは言わず、「ナチスによるユダヤ人殺害」と、まるで他人かがやった犯罪ような表現を必ず使うから、ドイツでテレビなどを見る際は注意してコメントを聞いて欲しい。それほどまでにこのテーマは今でのドイツ人の深層心理を圧迫しているから、ドイツにやってきてステイ先などで、こういうテーマを尋ねる(話す)事は絶対に避けるべき。
かってドイツの政治家が国会で、「まるでユダヤの星をつけて差別するような、、。」と、例え話を出した事がある。本人は全然悪気がなかったし、我々外国人が聞く分には一体どこが問題なのか最初はわからなかった。ところがドイツではユダヤ人殺害、迫害のテーマは絶対のタブーである。特に政治分野では禁句である。案の定、この演説はその日のニュースのトップで報道(非難)されて、お決まりのようにドイツ国内のユダヤ人団体から非難され、当の国会議員は公に陳謝をする羽目になった。こういう政治家の失態を何度も見ていると、ドイツに住む外国人でもユダヤ人殺害に関するテーマは政治家として避けるべきだとわかってくるが、それを理解できないのが政治家というものらしい。今度はバイエルン州、SPDの党首Stiegler氏がやってくれた。
SPDは圧倒的に不利な選挙戦を展開しているから、なんとかして政敵の悪口を言いたかったのだろう。野党CSUの選挙プログラムを非難して、「これじゃ、働く人に国の財政難を押し付けて、死ぬまで働けと言うようなものだ。これでは Arbeit macht freiではないか。」と、言ってしまった。これを収録したテレビのレポーターは大喜び、この発言はその日のニュースのトップを飾った。ご存知ない方の為に補足しておけば、Arbeit macht freiという言葉はアウシュビッツなどのユダヤ人絶滅収容所の入り口の門に書かれていた言葉で、強制収容所の代名詞でもある。つまり、Arbeit macht freiなどという言葉はタブー中のタブーなのである。
早速、ユダヤ人団体からものすごい抗議が寄せられる。さらにはSPDの党首のMuenteferin氏も「使われてはならない言葉で、CSUとナチスを比較するとは言語同断である。」と、同じ党の仲間をカバーするどころか、強く非難した。最初は、「そのつもりはなかった。」と、頑張っていたシュテイーグラー氏も結局は、陳謝する事になった。一体、政治家はいつになったら、言ってはならない事と言って良い事を学ぶのだろうか。次のスキャンダルもさほど遠くはなさそうだ。
と、このコラムを書き終わったら言わんこっちゃない、今度はCDUのSchoenbohm氏が選挙前を前にしてまた暴言を吐いた。東ドイツで起きた事件を取り上げて、「東ドイツで起こるべきして起こった悲劇だ。東ドイツでは人間の尊厳など問題にならないからこういう事件が起こる。」と、東ドイツの全住人をまるで犯罪者扱い。非難轟々で、本人は思慮の至らない発言に陳謝した。なぜ総選挙を目前にしたこの時期に、そういう思慮のない発言ができてしまうのか、政治家の思慮のなさは測りがたい。

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問題発言の多い事で有名なStiegler氏/SPD

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アシュビッツノ入り口に掲げられている文字は、ドイツでは絶対に禁句だ。


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