Medienkanzler (11.09.2005)

総選挙2週間前になって今まで圧倒的に不利な選挙戦を展開していたSPDが、かなりの勢いで支持率を伸ばしている。この戦局の転換をもたらしたのが(アメリカの大統領選挙の真似をして)テレビで行なわれた首相と首相候補のMerkel女史との討論である。
8月の時点では野党CDUの楽勝が予期されていた為、メルケル女史はテレビで首相と対決する事を渋った。何しろ現首相は、MedienKanzlerの異名を誇り、冗談好きで、テレビ受けが非常にいい。これに比して首相候補のメルケル女史は見栄えもぱっとしないが、それ以上に演説が下手で、いい間違いをして、 笑いの対象となる事が多い。国会で野党と与党を勘違いして、自分は野党なのに野党(つまり自分の党)を痛烈に非難して、首相から大いに賛同をさるという珍場面もあったほどだ。だから首相がテレビ討論を2回要求したのに対して、メルケル女史が「1回だけなら、受けてもいい。2回にこだわるなら、テレビ討論を受け入れない。」と、対決を渋ったのがよく理解できる。女史の取り巻きが 「1回も受けないと卑怯者と思われるかもしれない。しかし2回も受けてたつと、楽勝できる選挙を失うかもしれない。」と、アドバイスしたに違いない。こうした背景があって、9月の初めにドイツ史上発のテレビ討論が行なわれた。
討論自体は小学生の言い合いのレベル。両候補が自分の言い分を主張するだけで、どちらがいい印象を与えたという事はなかった。それだけにメルケル女史が大きなヘマをしなかった事に評論家は驚いた。しかし翌日になってメルケル女史が使った最後の締めくくりの言葉が、米国のレーガン大統領候補が、カーター大統領との討論で使った言葉の丸写しである事が報道された。情けない事に、メルケル女史は自分の言葉がないので、取り巻きが用意した下書きを丸暗記していたのだ。その上、討論の席で語った内容が事実と異なる事を新聞で指摘されてしまう。これ以降、野党の支持率は沈む一方で、逆に与党は上昇する一方。選挙1週間前になって、支持率は拮抗してどちらが勝つかわからない状況になってきた。
今から思えばメルケル女史はテレビ討論を断るべきであった。支持者を失うかもしれないという不安から受け入れた討論で、確実に支持者を失ってしまった。2ケ月前に首相が、「選挙はまだ終わっていない。」と言っても誰も信用しなかったが、「信ずる者は救われる。」か、SPDの党員はいきなり元気が出てきて本気で選挙に勝つ気分でいる。この辺りに現首相のリーダーシップがうまく示されている。
ドイツ人はトップにいる人間には、こうしたリーダーシップを要求するから、ひょっとすると現政権が何らかの形で政権を維持する可能性がある。


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テレビ討論に臨む首相候補と首相


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この勝負は首相(赤色)の勝ち!


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