連邦情報局 (05.03.2006)

ドイツでは組織の名前を短縮して表示するのが伝統(?)。昔の東ドイツはDDR、今のドイツはBRD、政党はCDU,CSU,SPD などなど。なら、BNDは何の組織か、ご存知だろうか。短縮せずに名前を書くと、Bundesnachrichtendienst。いかにもドイツ語らしい名前だが、直訳すれば連邦ニュース局。まるで日本放送協会(NHK)みたいで、いかにも害のなさそうな名前だが実はこれ、ドイツの諜報局の正式名称だ。だからもうちょっと「威厳」を出して、連邦情報局という日本語の方が的確な表現だろう。ドイツでは今、このBNDの活動が原因で(就任したばかりの)外務大臣の椅子が多いにゆれている。
原因は、米国のイラク侵攻。このコラムでも紹介したが、米国のイラク侵攻が近くなった頃、当時の首相Schroeder氏は、(頼まれてもいないのに)「頼まれても、ドイツはイラク侵攻には一切援助しない。それでも侵攻するなら、ドイツなしでやってくれ。」と、選挙戦で演説。ドイツ国民の人気を博し総選挙に勝利した。
 
その後、実際に米軍のイラク侵攻が始まると、ドイツ政府はイラクのドイツ領事館を閉鎖、人員をドイツに引き上げたハズだった。ところが、実際には、領事館に勤務しているBNDの5人は帰国せず、フランス領事館に席を移動して、イラク侵攻中も活動していた事が判明した。BNDの言い訳によると、アメリカ軍から攻撃目標の確認を依頼され、攻撃目標が民間の施設ではない事を確認していたので、あくまでも人道的な活動だったという。ところが、米軍の関係者の話ではBNDがバクダッド市内、特にサダムフセインの隠れ家を探すのに協力して、あるレストランを攻撃目標として確認したという。ところが、これは誤報で、結果として罪のない市民が多く殺された。又、米軍のバクダット侵攻の前には市内の防御網を確認して、米軍に通報していたという。

BNDは政府の官房長官の指令下にある。つまり当時官房長で、今、外務大臣のSteinmeier氏は、BNDの行動について把握していた筈だ。そこが老練な政治家のシュタインマイヤー氏は、「それは根拠のない非難である。」と非難をかわそうとするが、米国の新聞に次々とBNDの(本当の)活動が暴露されており、大いに信用性に欠ける。氏が主張する通り、官房長官の許可なくして諜報機関員が勝手にイラクに留まって活動していたとすれば、氏の管理能力が問題視される。諜報機関が勝手に行動をするような事は、民主国家ではあってはならない。結果として、この件で諮問委員会が開かれ、外務大臣は公式にBNDの行動を釈明する必要に迫られている。

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公聴委員会に出頭したシュタインマイヤー氏。



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