ドイツの誇り。 (14.06.07)

今でこそMade in Germanyと言えば、車、電気製品、医療器具、化学品、軍備など、幾つかの分野で、その優れた品質ゆえに我々日本人にもお馴染みだ 。しかし第二次大戦まではドイツの優れた工業製品といえば、主に軍備に限られていた。見方によれば、今日のドイツの優れた最新技術は、当時の軍事技術が発信源になったとも言えるだろう。

通常、ドイツ人は戦争のテーマを嫌うが、それでも当時のドイツが建造した戦艦、戦車、戦闘機などに大いに誇りを持っている。ドイツ海軍の誇りである戦艦Bismarckは 、6年の歳月と(当時の)ドイツの最新の技術を駆使して建造され1939年に就役した。排水量は4万6千トン、主砲は38cm、速度は30ノット だから、当時の世界の最新鋭戦艦と言えるだろう。(日本の誇りである戦艦大和は1941年就役だから、この時点ではまだ建造中。) 又、ドイツ海軍は、この戦艦はどんな攻撃を受けても絶対に沈まない不沈艦であると発表、ドイツの軍事力を誇示した。

詳しい内容はスペースの関係で(又、興味のない方がほとんどだろうから)省かせていただくが、その不沈艦がなんと最初の戦闘任務(Feindfahrt)で沈んでしまったのである。 このドイツの誇りを沈めたのは英国海軍だ。当初、ビスマルクを仕留めるべく派遣されたのは、英国の最新鋭戦艦Prince of Walesと、第一次大戦の行き残りである巡洋艦Hoodだったが、戦闘開始から5分と経たないで、Hoodはビスマルクの連射を受けて、真っ二つになり轟沈した。Prince of Walesも7発の命中弾を受けて、命からがら戦場を離脱する。 しかし、その後、ビスマルクは海軍機の魚雷攻撃を受け舵が壊れて、操舵不能に陥いる。英国海軍がこの千載一隅のチャンスを見逃すハズもなく、ありったけの艦船を集結、ビスマルクを集中砲火に取る。しかし幾ら艦砲射撃を加えてもビスマルクは沈まない。流石は、Made in Germany。(Krupp社製)丈夫にできている。業を煮やした英国海軍は、駆逐艦から魚雷を撃って、ビスマルクを沈めたのである。

しかし戦後、ビスマルク の生き残りの乗員が、「ビスマルクは魚雷で沈んだんじゃねえ。捕獲されぬように、俺たちが爆弾をしかけて、穴を開けて沈めたんだ。ビスマルクは最後まで不沈艦であった。」と述べたから、イギリス海軍は面子丸潰れだ。だから、英国はあくまでも「魚雷で沈めた。」と言い張り、ドイツ人は、「いやいや、君、そんなワケはないよ。ビスマルクは不沈艦だよ。英国海軍なんぞに沈められるわけがない。」という具合に、お国の名誉をかけて「大人の言い合い」になった。

そうこうする内、1989年になって4800mの海底に沈むビスマルクが発見されてしまった。有名なアメリカの映画監督が、水中探査を実施。海底に沈むビスマルクを撮影した。この水中探査に英国は、ビスマルクに留めを刺した魚雷の穴を見る事を期待、一方、この調査に同行したビスマルクの元乗務員は、ビスマルク自沈説が立証される事を期待した。緊張する空気の中、水中カメラがビスマルクを1周するのだが、英国海軍の主張する魚雷の痕(穴)が見つからない。これを見たドイツ人は、「やっぱりビスマルクは不沈艦だった。」として、ドイツの名誉が救われたと確信。一方、英国人はビスマルクが斜めになっている為、肝心の魚雷の炸裂の穴が見えないのだと主張。結局は、この調査は両国の言い争い に油を注ぐ結果となってしまった。この言い争いは、両国の名誉(第三者からするとどうでもいい。)がかかっているので、永遠に続く事だろう 。

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ドイツ(海軍)の誇り Bismarck
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