Ohne mich! (05.09.2007)

日本に住んでいると、日本の事しかわからないから、比較のしようがない。この為、日本を離れてドイツに住んで、ドイツのシステムと比較して、始めて日本の良さがわかる事がある。そのいい例は、武器の輸出の禁止と武器の所持の禁止である。前者の場合、著者は先進国で武器の輸出を禁止している国を他に知らない。日本の政治家に国際的視野があるならば、メルケル首相が日本を訪問して、日本の死刑制度に対して苦情を言った際、「確かに日本は死刑制度を維持しているものの、ドイツのように武器を第三国に輸出して民族虐殺の加担を担ってはない。」と言い返せただろう。安部首相は、一体何と答えたのか興味のある所だ。後者の武器の所持の禁止も、我々日本人が大いに誇っていい法律だ。スイスなどでは国民の多くが軍隊の予備軍に在籍している為、家庭に武器が置いてある。その結果、毎年、この武器を使っての殺人事件が起こり、その度に、武器所有の是非が問われているが、未だにこの制度は維持されている。

さて、ドイツの事情はというと、武器を所有するには、21歳以上でなければならず、又、武器所有の試験を受けてこれに合格しなくてはならない。これに合格すると、ショットガンから猟銃、小銃まで所有することができる。ところが、この法律に対して不満なのが、ここでも紹介した内務大臣のSchaeuble氏だ。内務大臣にしてみれば、武器の所持を18歳から許可すれば、もっと多くの武器が売れて、ドイツ国内の景気が良くなるというのである。(ドイツには、ヴァルター/ワルサーやヘックラーコッホなどの小火器の生産で有名な会社が多い。)

実際、数年前まではドイツでは武器の所有は18歳から許されていた。しかし2002年にエアフルトで19歳の青年がショットガンを持って学校に突入、学校の職員、教師など16人を撃ち殺してしまった。この事件が引き金となって武器の所有年齢制限が21歳に引き上げられたばかりだった。しかし、この悲劇も内務大臣にとっては教訓とはなり得ず、「武器の所有を21歳からにしても、武器による犯罪が減ったわけではないから、18歳の基準に戻すべきだ。」と主張。武器ロビーからの圧力(賄賂)があった為の発言だろうが、一方で殺人が行われるコンピューターゲームの販売を禁止すべきたと言いながら、一方では武器の所持年齢を下げるべきだというのだから、この論理には恐れ入る。

しかし、ドイツの世論はまだまだ捨てたものではない。内務大臣のこの発言が新聞、テレビで報道された途端に、野党はおろか自身の党内部からも非難の声が日増しに大きくなり、2日後に内務大臣はこの法律案を引き下げる羽目になった。

さらに今、ドイツで大きな議論となっているのが、(他の誰であろう)内務大臣の提唱しているテロの容疑者のオンライン操作だ。内務大臣の案(希望)では、スパイソフト(ドイツ語ではBundestrojaner)を使用してテロ容疑者のメール及び電話を盗聴しようというもの。このスパイソフトはメールに添付して送るつもりだったのだが、容疑者がアンチビールスソフトを使用していれば、感知されて削除してしまう危険性がある。そこで内務省はアンチビールスソフトを開発している会社に、Bundestrojanerを見逃してもらえないか打診するが、その答えは、"ohne mich."(そんなことには協力できない。)だった。そこで、(懲りない)内務大臣は、「スパイソフトはメールで送らないで、テロの容疑者が出かけているうちに、自宅に忍び込んで密かにスパイソフトをPCにインストールする。」と言い出した。

知り合いから聞いた話だが、知り合いのイスラム教徒がgoogleでアルカイダなどのテロキャンプの情報を収集したそうだ。数週間後には家宅捜査状を持って警察が自宅に押しかけて、コンピューターなどを押収していったという。米国の諜報機関などは、特定のキーワードをネットで拾って、自動的に警告が出る仕組みになっているが、ドイツでも同じように看視されているようだ。危ない用語は、自宅のネットワークで検索しない方がいい。


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抜け穴のない監視国家を目指す内務大臣のショイブレ氏。


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惨劇が起きたエアフルトの学校


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