揺り籠から墓場まで。 (29.11.2007)

生活保護は国民の権利であるにも関わらず、日本の地方自治体はなんだかんだと言い訳を見つけて、生活保護を認知しようとしない。日本の生活保護の支給額では、餓死すれすれ程度の生活しか保障されていないにもかかわらずこの有様である。この憲法で認められた国民の権利の無視は、特にアジア諸国で顕著な現象である。こうしたアジア諸国と違って、民主主義を戦って獲得した欧州では、そんなことはあり得ない。ドイツで生活保護を申請すると、(詐欺でない限り)100%保護を受けることができる。これは(居住権を持つ)外国人だろうが、ドイツ人だろうが、例外はない。ドイツに長く住んでいると当たり前のように思えてしまうが、これはすごい事だと思う。果たして日本で一体何人、外国人で生活保護を受けている人が居るだろうか?

ただ、こうした制度があると、これを悪用する人が居るのも事実だ。欧州では生活保護を受けると、快適に生活ができてしまう。特に失業し易い簡易労働者の場合、給与が低いため、失業保険の支給額が、真面目に働いた場合よりも100~200ユーロ程度しか変わらない。「じゃ何故、毎日働きに行く必要がある。」という考えに染まるのも時間の問題だ。特に合理的な考え方をするドイツ人には、この論理は特に魅力的。お陰でドイツでは、数万人にも及ぶ永久失業者が居る。ひどいケース(数は増える一方)になると、学校中退で、一度も仕事に就くことなく、生涯生活保護を受けて人生を終える人間が居る。(お葬式も税金で済ます。)この夢のような社会保障制度を運営する為、欧州では税金(社会保障費)がべらぼうに高い。

こういう怠け者はドイツに限らず、どこの国にも居るものだが、ドイツの場合は、「お手上げ」の状態だ。例えばドイツの隣国スイスでは、仕事を拒否すると、生活保護の支払いがストップされてしまう。しかし、ドイツでは 、労働意欲のない失業者を強制して仕事に就かせる法律もなければ、生活保護の支払いを止めることができる法律がない。結果として、ドイツには欧州でもっとも長期(永久)失業者の割り合いが高い。毎日、仕事をしている人間にとって、こういうやる気のない人を見ると、怒りが沸いてくる。毎月給料から引かれる高い社会保障費が、失業者が毎日、昼過ぎまで寝て、1日中、テレビを見て過ごせる為に費やされているのかと思うと、働いている自分が損をしているような気分にさえなる。

この現状に我慢のならなかった緑の党の政治家、Metzger氏が、ある新聞とのインタビューで以下のように語った。(仮定法を使用したいい表現なので、前文掲載。)"Viele Sozialhilfeempfaenger saehen ihren Lebenssinn darin, Kohlenhydrate oder Alkohol in sich hineinzustopfen". 意訳すると、「生活保護を受けている連中の多くは、炭水化物かアルコールを流し込むことを人生の目標と考えている。」という意味になる。この永久失業者の見事な人生描写に対して、賛否両論、ドイツは議論に沸いた。この政治家の所属する緑の党は、「ガソリンが1リットル2.5ユーロになれば、環境問題はおのずと解決する。」と言う国民経済を無視している環境及び福祉の党だから、こうした率直な意見は党内ではかなりの抵抗にあった。そうかと思えば、「棄てる神あれば、拾う神有り。」で、普段は政敵であるCDUからは「全く、その通りじゃないか。」と声援が送られた。これに続いて、FDPからは「是非、FDPに来て欲しい。」とラブコールまで。この発言は、ちょうど緑の党の党大会の前に行われたため、メデイアの関心は、メッツガー氏が果たして緑の党に留まるか、それとも他の党に移るかというテーマに集中。党大会の最終日にメッツガー氏が、脱党することを明らかにすると、このニュースはその日のトップニュースを飾り、緑の党が宣伝したかった肝心の党の決定などはニュースの素材とさえならなかった。

日本のように生活保護が滅多に認められないようなケースは問題だが、ドイツのように誰でも何もしなくても生活保護が死ぬまで受けれるのも問題。一番いいのはスイスやデンマークのように、生活保護は認めるが、勤労をする意欲がないものには、お金の支給額を減額したり、特にひどい場合には支給を止めたりする方法ではなかろうか。


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問題?発言で一気に有名人 メッツガー氏

 


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